40代は疲れやすい?漢方で考える疲労と対策
はじめに
しっかり寝ても日中眠い…
翌日まで疲れを持ち越してしまう…
ストレスが多くイライラしやすい…
風邪を引くとなかなか治らず長引きやすい…
みなさんは、こんな症状ありませんか?
40代になると、多くの人が疲れやすさをはじめとする体調不良を感じることがあります。
食事に気をつけたり、サプリを飲んだり、といった自分でできる対策をしていても、改善の実感があまりなかったりと、悩みの種ですよね。
そこで、今回は中医学の視点から40代の疲労について考え、その改善方法を探ってみましょう。
40代は疲れやすい?
40代は仕事、家事、子育て、親の介護などで忙しく、そこに社会的な責任などが重なり、疲労が蓄積して体調を崩しやすい年代といえます。
睡眠をとれば疲労は回復するものの、忙しいためにその時間がなかなかとれないという方も多いようです。
女性の場合は、40代になるとホルモンバランスが変化することで自律神経のバランスなどが乱れ、男性よりも疲れを感じやすくなるとされています。
漢方で考える疲労と対策
漢方の理論である中医学では、疲労を「虚労」や「虚損」と呼び、その原因として、胃腸虚弱や栄養失調、過労、ストレス、過度の性生活などを考えます。
また中医学での体の変化は、女性は7の倍数の年齢、男性は8の倍数の年齢とされます。
そのため、女性は35歳頃から、男性は40歳頃から、体の「精気(人の生命活動を支える基本物質)」が減っていくため疲労が起きやすく、さらに疲れが抜けにくくなります。
体の変化だけでなく、40代では忙しさや気苦労などを感じる機会が増えます。
それを漢方では、「気(エネルギ―)」の消耗と捉え、「気虚(エネルギ―不足)」の状態になると考えます。
特に女性の場合には月経や更年期の影響を受け、「血(心身の栄養物質)」の消耗が増えるため「血虚(血の不足)」の状態になりやすくなります。
40代の疲労における代表的な体質のタイプ
・脾虚タイプ(胃腸が弱ることで疲労しているタイプ)
よくある症状:倦怠感がある、食欲がない、消化力が弱い、手足がだるい、いつまでも眠っていたい
胃腸が弱いため、食事やサプリメントなどの栄養をうまく吸収できず、疲労がたまりがちです。
このタイプは胃腸を元気にして、栄養をしっかり吸収できるような体質改善をしていきましょう。
・腎虚タイプ(年齢の変化で疲労しているタイプ)
よくある症状:1日中疲れが持続して休んでもすぐに疲れがとれない、足腰がだるく痛む、性欲の低下がある
40代以降の中年・高齢者の方の疲労のタイプです。
年齢を重ねることで疲労感も増すため、規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保するように心がけましょう。
・肝鬱タイプ(ストレス過多で疲労しているタイプ)
よくある症状:ストレスを感じると疲労感が増す、イライラしやすい、頭痛や肩こりがある、睡眠の質の低下がある
ストレスや眼精疲労などによって、「血」を消耗したり、「気」の巡りが滞ったりして見られるタイプです。
このタイプは自分なりのストレス解消法を持つことで、精神疲労をうまく発散できるようにしましょう。
※これらのタイプは、単独だけでなく、複合した状態がみられることもあります。
他の体質が疲労に影響することもありますので、自己判断ではなく専門家にご相談ください。
疲労の対策「元気貯金」のススメ
日々の疲れに負けないための対策として「元気貯金」をオススメします。簡単にいうと、「未来の自分への元気の投資」です。
- 1.バランスのいい食事をとる
- 2.睡眠の時間と質を確保する
- 3.適度な運動をする
このような基本的な生活習慣を整えることにより、日々の健康を守り、将来の健康への投資をすることができます。
この元気貯金は、年齢とともに貯金できる量も減るためなど、少しずつでも毎日できることを取り入れることが元気を貯めるポイントになります。
もし、生活習慣を改めてもうまく体調が整わない場合は、漢方の力を借りてみるとよいでしょう。
代表的な漢方薬と随伴症状
疲労を改善する代表的な漢方薬
・疲労倦怠感・食欲不振・胃下垂・めまいがあるとき
…補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・疲労倦怠感・消化不良・胃もたれ・吐き気・軟便があるとき
…六君子湯(りっくんしとう)
・疲労倦怠感・食欲不振・貧血・冷えがあるとき
…十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
・睡眠の質の低下・不安感・胃腸虚弱・貧血があるとき
…帰脾湯(きひとう)
・イライラ・憂うつ感・眼精疲労があるとき
…加味逍遥散合四物湯(かみしょうようさんごうしもつとう)
・頭痛・肩こり・冷えのぼせがあるとき
…桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・疲労倦怠感・足腰の重だるさ・冷えがあるとき
…八味地黄丸(はちみじおうがん)
・足腰のだるさ、性欲の低下があるとき
…亀鹿二仙膠(きろくにせんきょう)
※ここに紹介した漢方薬は一例です。
服用を希望される際には専門家とご相談されることをお勧めします。
更新日:2024-06-28