コラム:不妊症シリーズ
「妊娠の仕組み」
「なかなか妊娠しない・・・」
「病院にいって検査をしても原因が分からない・・・」
などで悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
同じくらいの年齢、同じ時期に結婚、ともに元気・・・それなのにすぐに妊娠できるカップルとそうでないカップルがいます。
そして病院に行って検査をしても、原因がわかるケースと原因が全く分からないケースがあります。それは何故でしょうか??
関連動画:漢方マスターが教える妊娠の仕組み
実は不妊症で悩む方の25%が原因不明の不妊症。
原因が分からない場合、生殖医療を受けてもなかなか妊娠できないケースが少なくありません。
今回はそのようなご夫婦に東洋医学をぜひ知っていただきたいと思います。
さて、みなさまは妊娠までの道のりについてご存知ですか?女性の体にどんなことが起きているのか見ていきましょう。
STEP1
まずは、脳から分泌されるFSHという女性ホルモン。このホルモンが卵巣に届くことで卵胞が大きく育ちます。そして卵胞が成熟していくと、卵胞内にある卵子も段々と成熟していきます。
一般的に月経が始まってから2週間程度で、卵胞は大きさ約20ミリの成熟卵胞になります。
今度は、成熟した卵胞からエストラジオールという女性ホルモンが分泌されます。この女性ホルモンが十分に分泌されると、排卵のメッセージが送られて排卵が起こります。卵胞から卵子が排卵すると、抜け殻となった卵胞が黄体に変わり、プロゲステロンという女性ホルモンを分泌します。
そして、排卵した卵子は卵管采にとりこまれ、卵管膨大部で精子と出会うのを待ちます。
STEP2
射精された精子はいつでも子宮の中に入れるというわけではありません。
女性側では排卵時期にネバっとした粘液が出てきます。この粘液があってこそ子宮の中に入ることができるのです。
健康な男性であれば1回の射精で1億匹くらいの精子が出ます。
卵子と出会うために、精子は卵管膨大部まで移動していかなければなりません。移動していくためにはパワーが必要です。なんとか卵子のところまで辿りついた頃には精子の数は100匹程度にまで減りますが、この100匹がパワーを出し合って、卵子の膜をやぶって溶かし、ようやく受精をすることができるのです。1匹だけで受精することは難しく、精子の数や力というのがすごく重要になります。
STEP3
それでは、めでたく受精できたとします。
受精卵というのは分割していくのですが、2日目に2分割、3日目に8分割、5日目には100個くらいの細胞となった胚盤胞まで育っていきます。
ところが受精できたからといって、すべての受精卵が順調に分割してくれる訳ではありません。卵にもパワーがある卵と、ない卵があり、パワーがある卵に限って胚盤胞まで育つことができます。受精したとしても、胚盤胞まで到達できるのは3割程度、ですから卵の力・精子の力が非常に重要になってくるのです。
STEP4
さて、今度は子宮内膜について見ていきましょう。
実は、子宮内膜には受精卵を受け入れることのできる最適な時期というのがあります。それが「着床の窓・インプランテーションウインドウ」です。この着床の窓が開いた時期にだけ、受精卵は子宮内膜にくっつくことができます。
通常は、排卵後5日目から7日目の受精卵が胚盤胞に到達する時期に、着床の窓が開きます。ところが、着床の窓の開く時期がズレたり、期間が短くなったりすることがあり、それは年齢、ホルモン、子宮の血流や温かさなどと関係があると言われています。せっかく受精し、受精卵の分割が進んだとしても、この着床の窓が開く時期と合致しないと受精卵はくっついてくれません。
妊娠までの道のりというのは非常に長いのです。
まとめ
卵子が元気であることが必要!
精子が元気であることが必要!
子宮が元気であることが必要!
東洋医学にはこの元気な卵子・精子・子宮を育てる方法があります。
「妊活に重要な“気”」
では「元気な卵子」というのはどのように見分けるのでしょうか? そもそも「元気な卵子」とは何なのでしょうか?
関連動画:漢方マスターが教える妊活に重要な気とは
「元気」というのは、東洋医学では「気(き)」という言葉で表されます。 「気」というのは分かりやすく言うと、パワーであり、エネルギーの総称です。 「気」というものがいっぱい蓄えられていると「元気な卵子」ということになります。 気は様々な働きをするのですが、東洋医学では次の5つの作用として表されます。
1.温煦作用 とは
内臓や子宮を温める作用のことで、気があるから体が温まります。極端な話ですが、気がなくなると人間は命を落としてしまいます。肉体的に構成しているものが何も変わらないのに、気の有無で生命の有無が決まる。これは死ぬ前後で体温が大きく変わることで理解していただけるのではないでしょうか。
2.推動作用 とは
成長・発育させる力、血液を循環させる力、内臓を動かす力などのことです。例えば、精子が卵子のところまで運動していく力(つまり精子の運動率)や、卵胞や卵子の発育、受精卵の分割なども気の推動作用によるものと考えます。
3.気化作用 とは
物を変化させる力のことで、わかりやすく言うと新陳代謝です。例えば、豚肉を食べることで自分の血となり肉となる様に、食べたものを変化させる力でもあります。食べても太れない方、血液の成分を作る力が弱い方、ホルモンを作る力が弱い方などというのは、気化作用が弱いということになります。
4.固摂作用 とは
体液や血液を身体の外に漏れ出過ぎないように体を守る作用のことです。例えば、おりものが多い、不正出血がある、トイレが近い、汗が多いなどは固摂作用が弱いということになります。
5.防御作用 とは
免疫力やバリア力のことです。例えば、風邪を引きやすい、アレルギーがあるなどは防御作用が弱いということになります。
こういった作用全てが気の働きと絡んでいます。 妊娠とは直接関係がないように思う症状も気の働きと絡んでいて、全身の気が充実してこそ、卵子の元気の貯金も増えるのです。
気のイメージがどうしてもわきにくい方は、巷でミトコンドリアっていう言葉を聞いたり、目にしたりしませんか? ミトコンドリアというのは、エネルギーを作るところなのですが、老化するとミトコンドリアの数が減ってしまいます。ミトコンドリアの数が少ないと、卵子の分割のスピードが遅くなります。
まとめ
エネルギーを作る力には、気が絡んでいて、元気な卵子というのは気が大きく関わっているのです。気を増やしていけば、必ず卵子は元気になります。ですから皆さん、気を増やすことが妊娠においてとても重要な事なのです。
「“気”を増やす方法」
関連動画:漢方マスターが教える妊活のポイント -“気”を増やす方法とは
気を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?取り入れていただきたい方法が3つあります。
1つ目は「食事」
食事といっても様々な方法がありますが、東洋人に大切なのはやはり穀物、特に雑穀がとても重要です。
雑穀は健康ブームでダイエット、生活習慣病の予防や治療で広く使われていますが、東洋医学では、精製されていない雑穀の中にたくさんの気を含んでいると考えています。
つまり逆に言うと、精製された雑穀からは気が抜け落ちてしまうということです。
みなさんは、雑穀というとどんなものをイメージされますか? 小豆、あわ、ひえ、きびなど種類は色々とありますね。 その中でも一押しなのが「黒大豆」です。白い大豆ではなく「黒大豆」。
黒大豆には「
2つ目は「睡眠」
これは妊活指導されている先生はみなさんおっしゃることですが、早寝早起きです。 21時までには寝て下さいとおっしゃる先生もいらっしゃいますね。 早寝といっても現実的なことを考えて、先ほどの食事方法と組み合わせて23時には寝るようにしましょう。
また、睡眠を深くする工夫もしましょう。
就寝する1時間前には入浴を済ませましょう。お湯の温度は体温より3度高い温度、できれば40度くらいで抑えていただきたいですね。ちょっとぬるいと感じるかもしれませんが、肩までしっかりつかって10分以上入っていれば、体が温まってきます。
この体の温まった状態というのは、熱いお湯に短時間入ったのとは違って、長持ちします。
※スマホ、タブレットは入浴に持っていかないでくださいね!目を休めて下さい!
寝入りが悪い方は、入眠のためのアイテムも活用してみてください。 アイテムは3つ。アイマスク、大豆袋、アロマ入りの加湿器です。 大豆袋は首を温めるために使用します。市販でも購入できますが、ご自身で袋に黒大豆を入れ、レンジで温めてから、首元も温めるようにするのがおススメです。
帰宅時間が遅い方は、ストレッチポールを活用してみましょう。
背中の筋肉をほぐすことが大切です。背中の緊張をゆるめてあげると、自律神経が非常にリラックスします。お仕事がお忙しい方も多いと思います。そんな方にはストレッチポール。非常に喜ばれている方法です。ストレッチポールは帰宅後すぐに5分間するのがおススメです。
3つ目は「漢方薬」
胃腸を温めながら気を増やす漢方薬や、腎の気を増やす漢方薬を使います。 「腎」というのは成長・発育・生殖・内分泌・老化などと非常に深い関わりがある臓腑で、腎の気を増やす漢方薬を使うと、内臓がすごく元気になります。
精子・卵子・子宮などは、腎と密接な関係がありますので、腎を補う漢方薬が重要となります。
特に補腎には、
まとめ
「食事「「睡眠」「漢方薬」の3つの方法で気を増やし、元気な卵子・子宮・精子にしていきご夫婦で妊娠力を高めていきましょう。
公開日:2022-11-24
更新日: