漢方薬辞典-や行

 

薏苡仁湯よくいにんとう

効能効果

関節痛、筋肉痛

配合生薬

麻黄(マオウ)、当帰(トウキ)、蒼朮(ソウジュツ)あるいは白朮(ビャクジュツ)、薏苡仁(ヨクイニン)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)

出典

《明医指掌》に「手足の流注(多発性リウマチ)疼痛,麻痺不仁(知覚障害),以て屈伸しがたきを治す」とある。

方意と構成

筋肉や四肢の諸関節に起こる疼痛で、患部に少し熱感と腫脹があり、亜急性期・慢性期になったものに用いられる。

湿を除き痛みを取る蒼朮と薏苡仁が主薬で、麻黄と桂皮の組み合わせにより冷えを散らし、経絡を通じさせる。当帰・芍薬は血を養い血行を良くすることで、筋肉の痙攣を緩和して痛みを和らげる。炙甘草と生姜は正気(体を守る力)を高め、病邪を取り去る。

(管理No.02-201)

 

抑肝散よくかんさん

効能効果

神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症

配合生薬

当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、釣藤鈎(チョウトウコウ)

出典

《保嬰撮要》に「肝経の虚熱発搐(肝経の虚熱による痙攣),あるいは痰熱咬牙(発熱して歯をくいしばる),あるいは驚悸寒熱(驚き動悸をして発熱悪寒する),あるいは木乗土(肝の高ぶりで脾の機能が失調)して嘔吐痰涎(嘔吐して痰や涎を出し),腹脹少食(お腹が張り少食で),睡臥不安(睡眠や横になっても不安になるもの)を治す」とある。

方意と構成

本方は本来、乳幼児の癇の薬とされたが、現代では小児に限らず癇癪もち、神経症、四肢萎縮、不眠、夜間歯ぎしり、痙攣など、肝気が高ぶり神経過敏となるものに用いられる。

肝の高ぶりを抑え内風を鎮める釣藤鈎が主薬で、気血の巡りを伸びやかにする柴胡・川芎、血を養い肝を柔軟にさせる当帰、脾胃(胃腸)の気を養う白朮・茯苓・甘草からなる。方後に「子母同服」とあることから、母親の影響が大きいことが分かる。成人が服用する場合には、容量を多くする必要がある。

(管理No.02-202)

 

抑肝散加陳皮半夏よくかんさんかちんぴはんげ

効能効果

神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症

配合生薬

当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)、柴胡(サイコ)、半夏(ハンゲ)、甘草(カンゾウ)、陳皮(チンピ)、釣藤鈎(チョウトウコウ)

出典

《本朝経験方》江戸時代の北山友松子により作られたとされている。

方意と構成

抑肝散に、気を巡らせて痰を除去する陳皮・半夏を加味した処方である。

肝胃不和(情緒変動により肝気の鬱滞や気逆があり脾胃の機能を阻害しているもの)による悪心・嘔吐・あるいは水や痰の停滞である痰飲を伴う場合に用いる。

(管理No.02-203)