体質で考える「アトピー性皮膚炎」

更新日:2023.11.17

 

 

アトピー性皮膚炎とは?

体質で考える「アトピー性皮膚炎」

体質で考える「アトピー性皮膚炎」

アトピー性皮膚炎とは、良くなったり悪くなったりを繰り返す痒みのある湿疹を特徴とするもので、多くはアトピー素因を持つとされています。皮膚内の水分保持機能が低いことから、皮膚表面の外壁が弱く、バリア機能の障害があるとされています。

 

アトピー性皮膚炎の診断と治療

【診断】
※上記1.2および3の項目を満たすものを、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断する。そのほかは急性あるいは慢性の湿疹とし、年齢や経過を参考にして診断する。
【アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版より】


1.掻痒(そうよう)

2.特徴的皮疹と分布
 ①皮疹は湿疹病変
 ・急性湿疹
紅斑(こうはん)、湿潤性(しつじゅんせい)紅斑、丘疹(きゅうしん)、漿液性(しょうえきせい)丘疹、鱗屑(りんせつ)、痂疲(かひ)
 ・慢性病変
湿潤性紅斑、苔癬化(たいせんか)病変、痒疹(ようしん)、鱗屑、痂疲

 ②分布
 ・左右対称性 好発部位
前額、眼囲、口囲、口唇、耳介周囲、頸部、四肢関節部、体幹
 ・参考となる年齢による特徴
   乳児期:
頭、顔にはじまりしばしば体幹、四肢に下降
   幼小児期:
頸部、四肢関節部の病変
   思春期・青年期:
上半身(頭、頸、胸、背)に皮疹が強い傾向

3.慢性・反復性経過(しばしば新旧の皮疹が混在する) 
乳児では2か月以上、その他では6か月以上を慢性とする

 

【治療】
アトピー性皮膚炎では、皮膚の表面を覆う皮脂膜が乾燥したり、角質層の水分やセラミドが不足して皮膚のバリア機能が低下しているため、ほこりなどの異物や紫外線といった刺激を受けやすく、炎症や痒みを引き起こしやすくなっています。
治療では、皮膚の炎症に対してステロイドやタクロリムスなどの外用薬が、痒みに対して抗ヒスタミン薬などの内服薬が、スキンケアとして保湿剤などが用いられます。

 

漢方で考えるアトピー性皮膚炎

中医学では、アトピー性皮膚炎を“免疫低下”と“免疫過剰”の状態と捉え、免疫が低下すればそれを高め、過剰な場合はそれを抑えるようにしていきます。また、中医学の理論では、皮膚は内臓と密接な関係を持つことから、“皮膚は内臓の鏡”と呼ばれており、内臓の機能を高めてバランスを取り戻し、体質の調整や改善により皮膚を強化していきます。

 

中医学体質別治療法

① 風熱(ふうねつ)体質
自然界における風と熱の邪気(人体に悪影響を与える自然環境の変化)によるもので、痒みが強く上半身に出やすい。
随伴症状:発熱、喉の痛み、鼻づまり、頭痛、関節痛など。
春から夏によく見られ、湿疹が出たり引っ込んだりします。赤い細かい湿疹で痒みが出やすく、肌は乾燥します。

 

漢方

消風散、 荊芥連翹湯など

ツボ

大椎、 曲池など

食材

苦瓜、冬瓜、きゅうり、たけのこ、蓮根、クチナシの実など

 


② 湿熱(しつねつ)体質
身体に滞っている湿と熱によるもので、水疱やジュクジュクをともなう湿疹が見られる。
随伴症状:身体が重だるい、のぼせ、口臭、吹き出物が出やすい、むくみなど。
梅雨から真夏など湿気の多い環境や、アルコールや脂っこいものを食べることで悪化しやすく、長期化する傾向があります。

 

漢方

茵蔯五苓散、竜胆瀉肝湯など

ツボ

陰陵泉、曲池など

食材

ハトムギ、とうもろこし、冬瓜、緑豆、きゅうり、クチナシの実など

 

 

③ 血熱(けつねつ)体質

血中に熱がこもるもので、夜間の痒みが強く、かきむしって出血することがある。
随伴症状:発熱、のぼせ、目の充血、頭痛、イライラ、便秘、不正出血など。
暴飲暴食をしたり、辛いものを食べる食生活や、ストレスによって熱が生じ、炎症症状が起きやすくなります。

 

漢方

温清飲、桃核承気湯など

ツボ

百虫窩、血海など

食材

苦瓜、すいか、ナス、きゅうり、緑茶、クチナシの実など

 

 

④ 血虚(けっきょ)体質
血(けつ)の不足により、皮膚を栄養することができず、ザラザラと乾燥して痒くなる。
随伴症状:めまい、立ちくらみ、顔色が白い、眼精疲労、不眠、動悸、脱毛など。
疲労や出血、睡眠不足などにより血が不足して、皮膚の栄養となる血を送り届けることができません。赤みは少ないけれど痒みが強く、掻き傷が多くなります。

 

漢方

当帰飲子、七物降下湯など

ツボ

足三里、三陰交など

食材

人参、ほうれん草、なつめ、黒ごま、クコの実、プルーンなど

 

 

⑤ 脾虚(ひきょ)体質
胃腸が弱り、エネルギー不足になることで皮膚のバリア機能が衰える。
随伴症状:食欲不振、食後に眠くなる、軟便、お腹の張り、疲れやすい、むくみなど。
胃腸の機能が低下すると、身体に必要な気を作ることができず、皮膚の防御機能が低下します。そのため、日光、寒冷や温熱の刺激、発汗などの影響を受けやすくなります。

 

漢方

六君子湯、補中益気湯など

ツボ

中脘、胃の六つ灸など

食材

豆腐や湯葉などの大豆製品、卵、いんげん豆、山芋など

 

 

⑥ 陰虚(いんきょ)体質
体液の不足により皮膚を栄養することができず、ひどくなると割れ目が生じる。
随伴症状:のぼせ、ほてり、口の渇き、不眠、便秘、寝汗など。
加齢や過労、睡眠不足などにより身体に必要な陰分(体液)が不足すると、皮膚を栄養できず、刺激に対して敏感になります。

 

漢方

知柏地黄丸、瓊玉膏など

ツボ

腎兪、復溜など

食材

黒豆、黒きくらげ、アスパラガス、山芋、牡蠣、豚肉、鶏卵など

 

 

 

アトピー性皮膚炎の鍼灸治療

第一段階  急性発作を抑える
赤みや痒みが強い状態では、炎症を落ち着かせたり、皮膚への物理的な刺激によって痒みの感じやすさを和らげていきます。

第二段階  慢性症状の改善
炎症がおさまり、皮膚が乾燥して軽い痒みが続く状態では、皮膚に栄養と潤いを届けてバリア機能を回復させ、外からの刺激に負けない皮膚作りを行っていきます。

皮膚疾患のある方は、一般的に胃腸が弱い体質が多く、熱をとったり皮膚の栄養となる陰血を養う生薬が胃腸の負担になる場合があります。鍼灸治療で胃腸機能を高め、より漢方の効果を引き出す相乗効果が期待できます。

 

暮らしのアドバイス

・カロリーの高いもの、脂っこいもの、甘いものは避けましょう
・香辛料やコーヒー、喫煙などの刺激物は避けましょう
・疲れを溜めこまないようにしましょう
・睡眠をしっかりとりましょう
・熱すぎるお湯にはつからないようにしましょう