体質で考える「秋バテ」

体質で考える「秋バテ」

体質で考える「秋バテ」

更新日:2023.9.30

 

 

 

秋バテとは?

「夏バテ」と比べるとあまり馴染みのない「秋バテ」。実は悩まれる方が年々増加傾向にあります。特に医学的な定義はなく、夏の暑さが和らいで過ごしやすくなってきているのに、身体がだるい、食欲が出ない、疲れやすいなどの症状が続くような状態を「秋バテ」といいます。

 

症状が「夏バテ」と良く似ているため、症状だけを確認して、どちらかを区別することは難しいのですが、涼しくなってから疲れを感じるのが「秋バテ」であり、夏から秋にかけての気温の変化についていけないところに原因があると言われているため、症状の出ている時期によって呼び方が違うと考えて良いようです。

 

秋バテの原因と漢方で考える体質

「秋バテ」は大きく分けて三つのタイプに分かれます。

① 夏のダメージから症状が出るタイプ

② 夏と秋の気温差から症状が出るタイプ

③ 秋の特徴でもある乾燥の影響で症状が出るタイプ

 

 

①夏のダメージから症状が出るタイプ

夏は暑さや湿度の負担により、胃腸の働きを担う「」が弱りやすくなる季節です。くわえて、冷たい飲食や暑さによる疲れが続いて慢性化してしまうと、「脾」の力がなかなか回復できずに弱った状態が続いてしまいます。この体質を「脾気虚ひききょ」といいます。

 

「脾」が弱ると食べ物を消化したり、栄養を吸収したりする働きが低下してしまうため、食べたものから栄養や元気を作りにくくなり、パワー不足の状態となります。そうすると気温の変化や環境の変化についていけずに不調がみられる傾向があります。特徴的な症状として、疲れやすい、だるい、元気がない、食欲がない、お腹がはる、手足に力が入らない、などがあります。


 

②夏と秋の気温差から症状が出るタイプ

夏の疲れで弱っているところに気温が下がり、体を温める力が足りずに冷えや血行不良などがおこりやすくなります。

 

外の気温や冷房などの外気によって起こる冷えか、体内の温める力が弱っている冷えかによって対処が異なります。その原因によって現れる症状は異なりますが、共通する症状として、手足の冷え、お腹の冷え、痛みなどがあります。


 

③秋の特徴でもある乾燥の影響で症状が出るタイプ

秋は乾燥の季節のため、体表面だけでなく体内までの全身が乾燥しやすくなります。漢方の体の機能を主る五臓のうち、呼吸器のはたらきを担う「肺」、胃腸の働きを担う「脾」、水分代謝に関わる「腎」が影響を受けます。

 

特に秋バテでよくみられるのは「肺」が乾燥する「肺陰虚はいいんきょ」で、咳、口や喉の乾燥、ほてり、寝汗などの症状がよくみられます。「肺」は「皮膚」や「大腸」とも関係が深いため、肌トラブルやお通じのトラブルに悩まされることもあります。

 

 

秋バテの対策~おすすめの漢方薬・ツボ・食材

秋バテは一過性の不調ではなく、夏の暑さや秋の乾燥といった気候変化の負担が体質に影響して起こる不調です。そのため、栄養ドリンクやサプリメントなどで一時的に対策するだけではなく、継続的に取り組んで体質改善されることをオススメします。特に毎年のように不調を感じている方や日常生活に影響するような不調を感じている方は、漢方薬や鍼灸治療での対策がよいでしょう。

 

何となくいつもと体調が違うかな、秋バテを防ぎたいなという方はツボ押しや食事といった家庭でできる養生法を取り入れてみてください。

 

代表的な漢方薬

・ 六君子湯りっくんしとう
胃腸を整えながら体を元気にする

 

・ 参苓白朮散じんれいびゃくじゅつさん
胃腸を整え、体を潤し元気にする、下痢にもよい

 

・ 人参養栄湯にんじんようえいとう
体の元気や栄養を補い、リラックスさせ、咳にもよい

 

・ 生脈散しょうみゃくさん)炙/rp>
潤いや元気を補い、体液の流出を防ぐ

 

・ 炙甘草湯しゃかんぞうとう
潤いや元気を補い、血流を整えるため動悸や息切れにもよい

 

・ 麦味地黄丸ばくみじおうがん
呼吸器や全身を潤し、呼吸を安定させる

 

「秋バテの原因と漢方で考える体質」でご紹介した3つの体質は一つだけの体質になるわけではなく、混合して現れることもあるため、漢方薬の服用を希望される際には専門家に相談しましょう。

 

 

自宅でできるツボ押し

足三里あしさんり(お灸も可)

中脘ちゅうかん(お灸も可)

太淵たいえん

湧泉ゆうせん(お灸も可)

これらは「肺」「脾」「腎」のツボで、胃腸を元気にして体を潤すことが期待できます。

ツボ押しはゆっくり息を吐きながら押し、吸う時に力を抜きます。1回6秒程度で、気持ちがよい程度の力加減で3~5回程度押しましょう。

 

やりすぎはよくありません。また体質によって適したツボが異なる場合もありますので、気になる方は鍼灸師にご相談ください。

 

 

秋バテの薬膳・オススメ食材

やってくる寒さに備えて体を温め元気を補う食材を中心に食べましょう。また乾燥の季節ですので、体を潤す食材も摂り入れます。

胃腸が弱っていると感じている方は、生もの、脂っぽいもの、冷たいものは避け、よく噛んで食べるようにしましょう。早食い、食べ過ぎは止めましょう。

体の乾燥が気になる方は、香辛料の強い料理や辛すぎる料理は控えましょう。甘味と酸味を適度にとると体を潤しやすくなります。この場合の甘味は砂糖といった甘味料ではなく、食材がもつ自然な甘味のことです。

 

 

「脾」を養う

鶏肉、鮭、かつお、米、納豆、大豆、インゲン豆、枝豆、人参、ブロッコリー、かぼちゃ、山芋など

「肺」を養い潤す

鴨肉(*)、山芋、キクラゲ、ゆりね、さつまいも、ミョウガ、紫蘇、生姜、白ネギ、ヨーグルト、チーズ、ピーナッツ、松の実、銀杏、白胡麻、桃、いちじく、梨(*)、枇杷(*)など

体を潤す

豚肉、ぶり、卵、牡蛎、帆立、れんこん(*)、豆乳、くこの実、ざくろ、ライチ、パイナップル、りんご(*)など

※(*)の印があるものは体を少し冷やす食材のため火を通して召し上がってください

 

コラム

季節の変わり目「土用」

 

古代中国では、すべてのものが「木」「火」「土」「金」「水」の5つのどれかに分類され、互いに影響しあうと考えられていました。これを「五行学説」といいます。

 

季節については、春に「木」、夏に「火」、秋に「金」、冬に「水」に関係するとされ、残った「土」は季節の変わり目にあたる「長夏」に分類されました。「長夏」は日本の四季にはありませんが、中国では夏と秋の間の雨の多い時期を指します。この時期を日本では「土用」にあたると考えています。

 

「土用」は季節の変わり目すべてにあり、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間ずつの期間を指します。古くから「土用」の時期は季節の変わり目であり、気温の変動が大きく大気も不安定で体調を崩しやすくなる時期とされていたようです。夏の土用には、うなぎなど精のつく食べ物を食べて養生する習慣がありますよね。

 

「土用」と関係の深い五臓は「脾」です。「脾」は消化・吸収、栄養を作るといった胃腸機能や水分代謝を担当しています。季節の変わり目は「脾」の負担が増えやすくなります。食欲不振、倦怠感、むくみなどの症状がみられ、だるくてスッキリしない状態を感じたら要注意。「脾」の働きが乱れている状態ですから、「脾」の養生で対策しましょう。



漢方と鍼灸の誠心堂グループ配信
Youtube「秋バテ対策ツボ押し4選」
~鍼灸師のプロが教えるツボの取り方と押し方のポイント

 

 

小宮悠輝

監修 小宮悠輝

鍼灸師・誠心堂式三焦調整法認定鍼灸師

東京有明医療大学保険医療学部鍼灸学科卒

岡田 美由紀

監修 岡田美由紀

登録販売者・産後ケアリスト2級

誠心堂薬局新浦安店店長

誠心堂薬局広報部リーダー