舌診のはなし
舌の状態からわかること
漢方相談では体の状態を知る手がかりとして「
舌の色・形(舌質)や舌苔は健康状態を教えてくれます。中医学ではこの舌の状態を診る「舌診」を非常に重視しています。舌は経絡によって五臓と結びついているので、身体や病気の状態を知る重要な手がかりでバロメーターになると考えられているからです。
「気・血・津液(水)の巡り」や、「寒熱」の区別など、舌からは血液の状態、水分代謝の状態、元気の状態など様々な情報が得られます。
舌診は自分でも鏡で確認することが出来るため、毎日みていると変化が分かるようになってきます。自分の体調の目安にもなりますので、空腹時や歯を磨く前などにチェックすると良いでしょう。
「舌診」
どうやってするの?
舌診のおすすめは朝と夜。両方がムリなら、どちらか決まった時間に一度だけでも大丈夫です。食後の場合なら30分は間隔を置きましょう。
舌診では舌の形や、色・乾燥度・苔のはえ具合などを観察するので、セルフチェックには鏡を用意して実際に見てみましょう。
舌を出すときは、舌先をやや下に向けて力を入れず自然に舌を伸ばします。舌全体を十分に出してみて下さい。
舌診をするにあたりいくつかのポイントがありますので、参考にしてください。
- 舌診の前は歯磨きをしない
- 直前に舌に色がつくものは口にしない
- 水や熱いものを飲んだ直後は外す
- 直前に刺激のあるものをとらない
- 運動直後の時間は外す
- 入浴直後の時間は外す
舌の形・色・水分・巡り
健康な人の舌の状態は「淡紅舌薄白苔」といい、色は薄い紅色で、つややかな潤いがあり、苔は舌の色がみえる程度に薄く白くつき、亀裂などがありません。舌の形は引き締まっているため、舌辺に歯形などはなく整っていて、柔軟で動きもスムーズです。
舌は身体のさまざまな情報を伝えてくれます。舌を「診る」ことでどんなことがわかるのでしょうか。その具体的な傾向を簡単にご紹介します。
- 【舌の形は「気」と「津液」の表れ】
→ 舌は筋肉であり、元気であれば引き締まり、全体的に丸みを帯びた弾力のある形をしています。エネルギーが不足すると形が崩れたり、むくんで肥大するので、歯形がつきやすくなります。細く痩せた小さな舌は血や水が不足し、大きくなると水分過多を表します。 - 【舌の色は「血流や寒熱」の表れ】
→ 色は身体の寒熱の状態を表します。青舌から淡白色、淡紅色、紅色、深紅色になるにつれ、寒(冷え)から熱(熱がこもった状態)への変化を示し、正常な色は「淡紅色」とされます。また血の滞りがあると紫色、元気や栄養が不足すると白っぽくなります。他にも、血液の巡りが悪くなると、暗色や紫色のシミや班が現れます。 - 【舌の動きは「外邪」と「正気」の表れ】
→ 舌の動きは、外的環境から影響をうける急性病や、身体が消耗している慢性病などで動きに影響が現れます。呂律が回らない、舌を出す力がない、舌がふるえる、舌が片側に偏るといった状態があります。 - 【舌の裏側の状態は「循環」の表れ】
→ 舌の裏の血管は「舌下静脈」と呼ばれ、身体の中でも私たちが見ることができる唯一の血管で、血液の循環を知ることが出来ます。静脈が太くうねうねとして静脈の怒張のが表れているのは、血の巡りが悪く、血管が詰まりやすい状態を示します。 - 【舌のひび割れや亀裂、苔がない状態は「津液」の表れ】
→ 体の潤いが不足している状態を示します。潤いだけでなく、エネルギーや栄養も不足していることもあります。亀裂が深い場合は、慢性的な状態と考えられ、浅い場合は軽度であったり、前兆を示すこともあります。 - 【苔の状態は「病気の性質や程度」の表れ】
→ 健康な苔の有無は胃腸の状態に関係していますが、病的な苔の場合は、病気の性質や深さ、重症度などを表します。「苔の色」は寒熱の状態を表します。白色が健康ですが、冷えも白色で、熱があると、黄色、灰褐色、黒色と変化します。舌自体の色がみえない「厚い苔」や「べたべたした苔」は代謝が悪くなって老廃物が溜まっている状態を表します。
苔の一部分がはがれて「まだら模様の苔」になっている場合は、免疫力の低下や胃腸機能の低下、自律神経失調症、慢性病に見られます。
このように舌は味覚を感じるだけではなく、エネルギーとなる栄養素の通り道であり、経絡を通して五臓六腑へ繋がり、更には全身と繋がっていると考えられています。経絡で繋がっているからこそ、舌を診ることで全身の状態がわかるというのが舌診の考え方なのです。
本格的な舌診でわかる体質
「気・血・津液」の考えを元に6つのタイプに分けて考えます。
舌診から「気・血・津液」の考えを元に大きく6つのタイプに分けて考えます。
目で見ることにより簡単にセルフチェックの出来る「舌診」ですが、もともと四診(望診・聞診・問診・切診)のうちの「望診」に分類され、客観的な指標を得られる手段です。そのなかでも一つの独立したカテゴリーとして体系化されており、中医学の診断方法では非常に重要視されています。本格的な漢方相談をするのであれば、舌診を用いないということはないでしょう。
舌を診ることで「気・血・津液(水)」の状態がわかり、身体が伝えるさまざまな情報を得ることが出来ます。
・「気」・・・体を温めたり動かしたりするエネルギーで、基礎代謝の力となります。
・「血」・・・内臓や心の栄養であり、基礎代謝に欠かせない血流と深くかかわります。
・「津液(水)」・・・体を潤して滋養する水分でリンパ液や体液を関係します。
それぞれの不足や滞りによりタイプが分かれます。それぞれに特徴があり、そこから「体質」と言うものが見えてきます。同じような舌の状態や身体の症状であっても、使用する漢方や治療法ももちろん異なります。
中医学の専門家はこのように「舌診」をはじめとるするさまざまな診法で情報を集め、体質を見極めながら漢方相談をしていきます。
中医学の専門家から「舌診」を受けてみませんか?
お身体のこと、ご相談ください。
私共は、舌はもちろん、お顔や声から、伝わってくるご相談者様の身体の声を大切にして、総合的な健康サポートを目指しております。
中でも舌診は大切な知識と技術だと捉えています。舌診からわかる全身症状の改善に、漢方や生活ののアドバイスも行っておりますので、かかりつけの街の漢方薬局としてお気軽にご相談いただければと思っております。
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そんな願いに応えるために中医学があります。
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