薬草辞典-あ行
■オウギ
黄耆
[基原]マメ科キバナオウギやナイモウオウギなどの根。
[性・味]微温・甘
[帰経]脾・肺
[用法]10~15g。生黄耆は外表に作用し固表・托瘡・利水の作用に優れる。灸黄蓍は裏に作用し補中補気昇陽作用に優れる。補気昇陽には多量 (~30g) を使用。
人参に比べ補気力は劣るが,昇陽・固表・利水・托瘡作用に優れる。
補気昇陽 |
脾気を補うとともに,上昇力の低下した脾気の精気(中気下陥)をもち上げる。また補気により血の経絡よりの流失を防ぐ(摂血)。 |
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補気固表・ 解表 |
肺気を補い,膝理を密にし衛気の機能を高める(固表)。 |
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益気利水 |
脾の機能を高めることで利水する。気虚や脾虚の水湿停滞による浮腫・尿量減少・身体の重だるさなどに使用される。白朮・防已・茯苓・生姜・桂枝などと用いる。〔代表方剤:防已黄者湯 ,防已茯苓湯〕。 |
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托瘡生肌 |
瘡家の聖薬といわれ,正気を高めることで排膿を促し(托裏), 創傷や皮膚化膿症の治癒を促進する(生肌)。気血両虚などの排膿や化膿の遅延, 排膿後の傷口修復遅延などに使用される。 |
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他 |
(1) 補気により血を補い,かつよく巡らせる。気虚血虚証などの四肢のしびれ・痺証などに使用される。桂枝・芍薬・大棗・生姜などと用いる。〔代表方剤:大防風湯 ,黄蓍桂枝五物湯〕。 |
[注意点]補気昇陽作用があり ,火邪を助長しやすい。そのため,表実証・気滞湿証・食積・陰虚内熱・初期の皮膚化膿炎や,十分に正気がある同症には使用しない。
■オウゴン
黄芩
[基原]シソ科コガネバナの根。
[別名]尖苓・片苓
[性・味]寒・苦
[帰経]肺・胆・胃・大腸
[用法]3~10g。炒黄芩は清熱安胎,酒黄芩は清肺熱,炒炭黄芩は止血作用に優れる。
広範囲の熱証や湿熱証に使用され,特に肺火・肝火をよく冷ます。清熱安胎作用・止血作用を有する。
清熱燥湿 |
よく熱を冷まし湿を除く。肝胆・胃・大腸・boukou など多くの湿熱証 の下痢・煩熱・胸悶感・ロ渇・褐色尿・小便不利・黄膩苔などに使用される。 |
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清熱瀉火 |
熱を冷まし火を降ろす。温病気分証や少陽病・肺などの実熱証に多用される。 |
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清熱止血 |
止血作用があり,黄連と同様に,血熱による吐血・鼻出血・血便などに使用される。また喀血・血尿・湿疹などにも用いられる。黄連・大黄・山楯子・三七・茅根・愧花などと用いる。〔代表方剤:三黄潟心湯〕。 |
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清熱安胎 |
安胎作用(流産防止作用)がある 。胎熱による熱性の胎動不安 ・腹痛・下血などに使用される。白朮・当帰などと用いる。〔代表方剤:当帰散〕。 |
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清熱解毒 |
熱毒をよく冷まし除く。皮膚化膿症・火傷・熱毒による温病・細菌性などの重症下痢・咽頭腫脹などに使用される。特に,皮膚化膿症や火傷に用いられる。黄連・連翹・金銀花・蒲公英などと用いる。〔代表方:清上防風湯 〕。 |
[注意点]苦寒の性が強いため,脾胃を損傷しやすい(苦寒敗胃)。脾胃虚寒証には禁忌。実熱証以外には使用しない。また燥湿作用も強く津液を消耗しやすい。
■オウレン
黄連
[基原]キンポウゲ科オウレンなどの根茎。
[別名]川連
[性・味]寒・苦
[帰経]心・肝・胃・大腸
[用法]2~6g。強い熱証には12gまで使用可。粉末も可 (1~1.5g/回)。姜黄連は止嘔に優れる。酒黄連は上部の熱証(口内炎や眼痛耳痛など)に使用される。
治火の主薬といわれ,清熱・燥湿・解毒各作用ともに優れた実熱瀉火の重要薬。特に心火除煩作用に優れる。
清熱瀉火 |
よく熱を冷まし火を降ろす。諸薬の配合で以下の広範囲な実熱証に使用される。特に心火や胃熱を冷ます作用に優れる。 |
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清熱燥湿 |
よく熱を冷まし,強力に湿を除く。 |
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清熱解毒 |
熱毒をよく冷まし除く。本作用に特に優れる。熱毒による温病・細菌性などの重症下痢・皮膚化膿症・火傷・咽頭腫脹などに使用される。外用も可。)黄芩・連翹・大黄・升麻・板藍根などと用いる。〔代表方剤:清上防風湯〕 |
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他 |
寒性を和らげるために,少量を反佐薬として使用する。 |
[注意点]寒性と燥性が強く,多量や長期の服用で脾胃を損傷し(苦寒敗胃),食欲不振やもたれ,悪心・嘔吐などが出現することがある。実熱証以外には使用しない。 脾胃虚証には禁忌。また燥湿作用も強く津液を消耗しやすい。陽虚証・陰虚証には慎重に使用する。
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