薬草辞典-か行
■キバンキョウ
亀板膠
[基原]イシガメ科クサガメなどの腹甲を煮詰めて膠にしたもの。
[性・味]寒・甘・鹹
[帰経]肝・腎・心
[用法]3~9g。溶解(烊化)。
亀板に比べ滋陰・養血・止血作用に優れる。
滋陰潜陽 |
肝腎の陰を滋養し,肝腎陰虚のために上昇(上浮)した陽気を抑え(潜陽),また内風を静める。滋陰力に優れ,重度の陰虚や津液不足の病態に使用される。 |
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益腎健骨 |
精血を補い,筋骨を強くする。 |
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滋陰養血止血 |
滋陰養血し経絡からの血の漏れを防ぎ(固経)止血する。陰虚血熱による崩漏・過多月経などに使用される 。黄柏・阿膠・茜草などと用いる。〔代表方剤:固経丸〕。 |
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養血補心 |
血を補い心神を安定させる。血虚による心神不安の動悸・不眠・健忘などに使用される。竜骨・遠志・菖蒲などと用いる。〔代表方剤:孔聖枕中丹〕。 |
[注意点]脾虚寒による下痢・食欲不振・もたれなどには使用しない。
■キョウニン
杏仁
[基原]バラ科ホンアンズやアンズなどの種子。
[性・味]温・苦・甘
[帰経]肺・大腸
[用法]3~10g。後下するほうがよい。砕いて煎じる。
温性の止咳薬。止咳平喘の需要薬。
止咳平喘 |
肺気を降ろし痰を巡らせて止咳し呼吸困難を緩和する(平喘)。各種の邪による肺気鬱滞のための咳嗽・呼吸困難・白色痰などに使用される。配合薬により寒・熱・虚・実証や肺燥など各種の病態に使用可能。 |
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潤腸通便 |
大腸の気を降ろし,同時に腸を潤して通便する。腸燥の便秘に使用される。麻子仁・郁李仁・当帰・桃仁 ・枳実などと用いる。〔代表方剤:麻子仁丸,潤腸湯,五仁丸〕。 |
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他 |
肺気を流暢にすることで,水道通調作用を高め,軽度に利水する。湿証の 浮腫・重だるさ,湿温病初期の重だるさ・頭重・悪寒・胸部痞塞感 ・午後の発熱などに使用される。湿温病初期には,滑石 ・厚朴・薏苡仁などと用いる。〔三仁湯〕。 |
[注意点]軽度の毒性があり ,多量の服用で嘔吐・下痢 ・痙攣・呼吸困難などの副作用が出現することがある。
■キンギンカ
金銀花
[基原]スイカズラ科スイカズラなどの花蕾。
[別名]忍冬花・双花・二宝花
[性・味]寒・甘
[帰経]肺・胃
[用法]10~15g。解表には少量 (5~10g),熱毒が強いときには多量 (~60g) を使用する。炒炭金銀花は涼血止痢作用に優れる。
風熱を散じ,熱を冷まし,下痢を止める。連翹に比べ,表熱の発散に優れ甘性だが胃を荒らさない。
清熱解毒 |
軽く浮き上がる性質があり,外表部の風熱を発散する。また裏熱を冷ます作用もある。温病初期(衛分)や気分,營分の各証に使用されるが,特に気分の治療に優れる。 |
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散癰消腫 |
清熱解毒作用があり,皮膚化膿症に使用される。外科(皮膚科)の常用薬。熱毒による皮膚化膿症や腸癰(虫垂炎)・肺癰などに使用される。外用も可。蒲公英・野菊花・紫花地丁・黄芩などと用いる。〔代表方剤:五味消毒飲,仙方活命飲〕。 |
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涼血止痢 |
血熱を冷まし下痢を止める 。熱性の下痢や膿血便に使用される 。葛根・黄連・白頭翁などと用いる。 |
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他 |
清熱解暑作用もあり,暑熱証にも用いられる。 |
■クコシ
枸杞子
[基原]ナス科クコやナガバクコの成熟果実。
[性・味]平・甘
[帰経]肝・腎
[用法]5~10g。丸 ・膏・酒剤,外用も可能。
補肝腎の代表薬。山茱萸とよく同時に配合される。明目作用を有する。
補肝腎陰 |
山茱萸と同様に,肝血と腎精を滋養する。特に補肝陰作用に優れる。膩性は比較的弱く,作用は比較的温和である。また平性であり,腎陽虚証や血虚証にも使用される。 |
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養肝明目 |
良好な明目作用を有する。肝腎陰虚や陰虚内熱上浮などによる霧視・視力低下・眼球乾燥・流涙・飛蚊症などに使用される。菊花・山茱萸・熟地黄などと用いる。〔代表方剤:杞菊地黄丸〕。 |
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他 |
肺を潤し止咳する 。肺陰虚による慢性咳嗽(肺癆)などに使用される 。 麦門冬・知母・貝母・百部などと用いる。 |
[注意点]脾虚の下痢には使用しない。
■クジン
苦参
[基原]マメ科クララの根。
[性・味]寒・苦
[帰経]大腸・肝・腎
[用法]3~10g。丸・散剤,外用も可。
祛湿し利尿し,風熱を除く。下焦湿熱証や皮膚瘙痒症の多用薬。
清熱燥湿 |
清熱燥湿作用に優れ,湿熱の下痢や血便・黄疸に使用される。 |
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清熱利尿 |
清熱とともに比較的強い利尿作用を有する 。膀胱湿熱による小便不利・排尿困難 ・排尿痛や浮腫などに使用される 。蒲公英・沢瀉・車前子・貝母などと用いる。〔代表方剤:当帰貝母苦参丸〕 。 |
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殺虫止痒 |
祛風清熱することで瘙痒感を抑え,疥癬やトリコモナスの活動を抑制する(殺虫)。外用も使用可。 |
[注意点]苦寒性が比較的強く,胃を損傷しやすい。そのため多量や長期の服用は避ける。脾胃虚寒証には禁忌。伝統的に藜芦とは相反。
■ケイケットウ
鶏血藤
[基原]マメ科ムラサキナッフジなどのつる性の茎。
[性・味]温・苦・微甘
[帰経]肝
[用法]10~30g。
舒筋活絡を有する活血薬。補血作用も有し血虚証にも使用される。
行血補血・ 舒筋活絡 |
活血と同時に補血作用を有し,筋を緩め経絡の流通を良好にする。瘀血・血虚証ともに使用可能。 |
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[注意点]過多月経には使用しない。
■ケイシ
桂枝
[基原]クスノキ科ケイの若枝(嫩枝)。
[性・味]温・辛・甘
[帰経]心・ 肺・ 膀胱
[用法]3~10g。風湿痺証の疼痛には多量使用も可。丸・散剤も可。
表裏の陽気を温め,表邪を除き,気血を巡らせる。
発汗解表 |
体表部に作用し,よく温めて軽度に発汗させ表証を取り除く(解肌)。 風寒の外感表証に使用されるが,表実・表虚証,有汗・無汗にかかわらずともに使用可能。 (1)外感表虚証の自汗・悪風・脈浮緩や易感冒症などに使用される。白芍・生姜・大棗・甘草などと用いる。〔代表方剤:桂枝湯〕。 |
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温経 |
経絡を温めて血行を促進し(通経),風寒湿の邪を散じ,疼痛を緩和する。 (1)上肢肩関節など上部の風寒湿痺証に多用されるが,熱痺や寒熱錯雑の痺証にも使用される。 |
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通陽化気 |
陽気を温め活発にしてよく巡らせ(通陽),さらに痰湿を吸収し除く(化気)。以下の病態に使用される。 (1)肺や脾胃に痰飲が停滞し陽気が通りにくくなった病態。 |
[注意点]温性が強いため,陰虚証・温熱性の疼痛・出血症には禁忌。妊婦・月経過多症には慎重に用いる。