薬草辞典-か行
■ゴシツ
牛膝
[基原]ヒユ科ヒナタノイノコズチなどの根。
[性・味]平・苦・酸
[帰経]肝・腎
[用法]6~15g。生牛膝は活血・利尿・引火下行に,酒炒牛膝は補肝腎強筋骨に優 れる。
性は善く下行すといわれ①下部疾患に多用,②上炎の火熱の下降,③諸薬を下部に導く,④下降症状には使用せず,などの特徴を有する。
活血祛瘀 |
月経痛・月経不調・閉経・産後腹痛・難産・外傷打撲(特に下半身)などに使用される。 |
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.補肝腎・ 強腰膝 |
肝腎を補い血を巡らせて,筋骨を強め関節運動を伸びやかにする。平性であり寒熱両証に使用可能。 |
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利尿通淋 |
尿を下に導きよく利尿させる。熱淋・血淋・石淋などの淋病や排尿痛・血尿・小便不利などに使用される。瞿麦・滑石・冬葵子などと用いる。〔代表方剤:牛膝湯〕。 |
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引血引火下行 |
血を下降させたり,上昇した熱(火)を下に導き降ろす。 |
[注意点]下行する性質のため,遺尿・脾虚の下痢・妊婦・過多月経には禁忌。
■ゴシュユ
呉茱萸
[基原]ミカン科ゴシュユやホンゴシュユの未成熟果実。
[性・味]熱・辛・苦
[帰経]肝・脾・胃
[用法]1.5~5g。外用も可。漫然と多量に使用すべきでない。
温燥性が強く肝経に作用し,理気とともに寒湿の邪を温散する。肝経治療の重要薬。
温中散寒・ 止痛 |
散寒・理気止痛・燥湿の各作用に優れる。特に肝経の寒邪をよく温め散ずる。寒邪や寒湿停滞による腹痛・寒性の仙痛・月経痛・下肢寒湿の疼痛(脚気など),転筋などに使用される。 |
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温中止瀉 |
脾胃を温め下痢をよく止める。脾虚寒証や脾腎両虚証の寒湿性の下痢・五更瀉(夜明けの下痢)・嘔吐などに使用される。補骨脂・肉豆蔲・五味子などと用いる。〔代表方剤:四神丸〕。 |
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疏肝降気 |
肝気の疏泄を良好にし気逆を治する。 |
[注意点]辛熱性が強いため,気を損傷し熱を生じやすい。陰虚火旺証には禁忌。
■ゴボウシ
牛蒡子
[基原]キク科ゴボウの成熟果実。
[性・味]寒・辛・苦
[帰経]肺・胃・大腸
[用法]3~10g。丸・散剤も可。炒牛蒡子は寒性を弱め,中焦の陽気を損なわず, 虚弱者に使用される。
風熱を散ずるとともによく解毒する。薄荷に比べ発汗力は弱いが,優れた清熱解毒作用を有す。
発散風熱 ・清利咽頭 |
風熱を散じる。一般的な辛涼解表薬。 |
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清肺熱 |
肺熱を除き,肺気をよく流通させ(宣肺),痰の喀出を容易にし(祛痰),よく止咳する。風熱咳嗽のほか陰虚の咳嗽にも使用される。 |
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清熱解毒 |
優れた清熱解毒作用を有し,風熱や熱毒による咽頭腫脹(扁桃腺炎)や皮膚化膿症などに使用される。 |
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解毒透疹 |
薄荷・蟬退と同様に,風熱を散じるとともに熱毒を排出することにより,透疹させる。薄荷より解毒作用に優れる。麻疹の初期や湿疹が出切らないもの,風熱の発疹などに使用される。止痒作用もある。蟬退・薄荷・荊芥・葛根などと用いる。〔代表方剤:透疹湯,竹葉柳蒡湯〕。 |
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潤腸通便 |
便通を促進する 。便秘傾向のある風熱表証に用いるとよい。 |
[注意点]通便作用があるため,脾虚の下痢には禁忌。
■ゴミシ
五味子
[基原]マツブツ科チョウセンゴミシの成熟果実。
[性・味]温・酸
[帰経]肺・腎・心
[用法]2~6g。粉末も可 (1~3g/回)。砕いて使用。
補益作用と潤性を有する広範囲に使用可能な重要収斂薬。特に肺腎両虚証に使用され,かつ虚脱証にも使用可能。
収斂固澁 |
良好な収斂作用を有し,下記の広範囲な病態に使用される。 |
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益気生津 |
益気するとともに津液を潤し口渇を止める 。 |
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寧心安神 |
心陰を滋養し心神を安定させる。また補腎作用もある。心腎陰虚 による心神不安の動悸・不眠多夢・健忘などに使用される 人参・麦門冬・生 地黄・酸棗仁などと用いる。〔代表方剤:天王補心丹〕。 |
[注意点]表証を伴う病症・実熱証・初期の咳嗽などには使用しない。