薬草辞典-な行
■ニクジュヨウ
肉蓯蓉
[基原]ハマウツボ科ホンオニクの肉質茎。
[性・味]温・甘
[帰経]腎・大腸
[用法]10~15g。
潤性の温腎壮陽薬。巴戟天・鎖陽と同時によく使用される。潤腸通便作用を有する温腎壮陽薬。巴戟天に比べ,潤性が強く温和である。
温腎壮陽 |
よく腎陽を補い先天の気を盛んにする。さらに壮陽作用を有し,精血を補う。潤性であり乾燥させず傷陰の弊害が少ない。温性だが膩性は弱く潤性があり,薬性は温和。腎陽虚や精血不足の陽萎・不妊などに多用される。そのほか,腎陽虚の腰痛・腰下肢の脱力倦怠感・健忘・痴呆などにも用いられる。 |
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潤腸通便 |
腸を潤し通便する。腸燥の便秘,特に老人の腎陽虚証や精血不足の便秘に多用される。当帰・麻子仁などと用いる。〔代表方剤:潤腸丸〕。 |
[注意点]陰虚火旺や脾虚の下痢には禁忌。実熱証の便秘には使用しない。
■ニュウコウ
乳香
[基原]カンラン科ニュウコウジュの膠状樹脂。
[別名]薫陸香
[性・味]温・辛・苦
[帰経]心・肝・脾
[用法]3~10g。煎じると混濁し独特の臭気がある。外用も可。
強い止痛作用を有する温性の活血薬。没薬とともによく配合される。没薬に比べ,温性で行気作用に優れ,風寒湿痺作用にも使用される。
活血行気・ 止痛 |
(1)走散性が強く,血とともに気をもよく巡らせ瘀血を去り止痛する 。特に気を良く巡らせる。各種の瘀血性疼痛,特に瘀血気滞の疼痛に多用される。また風湿寒痺証にも用いられる。 |
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祛腐生肌 |
血を巡らせ腫脹や結節・化膿症を緩和し,化膿巣や傷口の修復を早め(祛腐生肌),かつ止痛する。外科の常用薬。皮膚化膿症・皮膚潰瘍・外傷・腸癰などに使用さ れる。特に傷口の修復不全に多用される。 |
[注意点]多量の服用で悪心・嘔吐を引き起こすことがあるので,胃弱者にば慎重に使用する。 非瘀血証や妊婦には使用しない。
■ニンジン
人参
[基原]ウコギ科オタネニンジンの根。
[性・味]温・甘・微苦
[帰経]心・脾・肺
[用法]3~10g。粉末も可(0.5~1g/回)。虚脱証には大量を使用する(15~30g)。とろ火で長時間煎じる。別煎して他薬に加えてもよい。伝統的に五霊脂を畏れ,黎芦に反し,皀莢を忌む。また大根やお茶は,薬力を弱めるので同時には服用しない。
補気の最重要薬。補気作用は黄耆より強く,固脱作用を有し,潤性で生津・安神作用に優れる。
大補元気 |
人体生存の根本的気(元気)を大いに補い,気の流失を防ぎ(固脱),元気を回復させる。 |
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補脾益肺 |
脾胃の気の機能を高め(補脾),肺気を補い満たす(益肺) 。 |
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益気生津 |
気を補うと同時に津液をより潤し(生津)口渇を止める。消渇・熱病などで,気虚し津液が消耗した証(気虚傷津)や気陰両虚証に使用される。 |
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益智安神 |
気を補うことで,心神の安定を図り見識力を高める。気虚証や血虚証などによる,不眠・多夢・動悸・健忘・不安などに使用される。 |
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補気生血 ・摂血 |
補気により陰血の生成を促進する。血虚・気血両虚証などに使用される。四物湯〔当帰・熟地黄など〕などの補血薬によく配合される。他に白朮・茯苓などと用いる。〔代表方剤:参帰湯,十全大補湯,人参養栄湯〕。 |
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扶正祛邪 |
祛邪薬に配合し,補気することで正気を強め邪を除く。邪盛正虚証や虚証体質の感冒などに使用される。祛邪薬の作用を阻害させないよう少量とする。 |
[注意点]邪火を助長し邪をとどめるので,実証・熱証には禁忌。