薬草辞典-さ行
■ジュクジオウ
熟地黄
[基原]ゴマノハグサ科ジオウやカイケイジオウの根を酒で蒸したもの。
[性・味]微温・甘
[帰経]肝・腎
[用法]10~30g。丸・散・膏剤にも使用可能。
補血滋陰の重要薬。阿膠に比べ,滋陰に優れる。
補血 |
よく心肝の血虚を補い,一切の血虚証に使用される。血虚によるめまい・ 動悸・顔色不良・不眠・羸痩・月経後期・過少月経・閉経などに使用される。また不正性器出血(崩漏)などにも使用される。当帰・白芍薬・阿膠・川芎などと用いる。〔代表方剤:四物湯,芎帰調血飲 〕 |
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滋陰補精 |
腎陰を潤し補い腎精を生じさせる。滋補肝腎の代表薬。 |
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他 |
潤腸通便作用があり,腸燥便秘に使用される。通便力は弱く,他薬の補助薬として用いられる。麻子仁・杏仁・桃仁・阿膠・当帰などと用いる。〔代表方剤:潤腸湯〕 |
[注意点]粘膩性が強く,生地黄より消化を妨害しやすい。脾胃虚弱・湿証・気滞などの腹部脹満痛・食欲不振・下痢などには禁忌。胃障害の防止には,縮砂・陳皮・木香などを配合する。
■シュクシャ
縮砂
[基原]ショウガ科シュクシャミツの種子。
[別名]砂仁・陽春砂
[性・味]温・辛
[帰経]脾・胃
[用法]2~5g。砕いて煎じる。後下。多量には使用しない。
理気作用に優れ,湿困脾胃気滞証に多用される化湿薬。安胎作用のある温性化湿薬。白豆蔲に比べ,行気作用が強く止痛力・止痢力に優れる。
化湿行気 ・止痢 |
気を巡らせよく湿を除くことで,脾機能を活発にし胃機能を整える(醒脾和胃)。芳香性が強く,優れた化湿・行気作用を有し,温燥性・行気止痛カ・止痢力に優れる。中焦・下焦に作用し,湿困脾胃証や湿阻気滞証の胃部脹満(痛)・食欲不振・腹痛下痢(特に寒湿下痢)などに多用される。そのほか,食積証のもたれ・食欲不振・下痢,脾虚痰湿証の嘔吐・下痢などにも用いられる。また補益薬の胃腸障害防止にも使用される。 |
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行気安胎 |
行気和胃することで止嘔し,流産を防止する(安胎)。妊娠悪阻・胎動不安・流産防止に使用される。 |
[注意点]陰虚内熱証には禁忌。
■ショウキョウ
生姜
[基原]ショウガ科ショウガの新鮮な根茎。
[性・味]微温・辛
[帰経]肺・脾・胃
[用法]3~10g。外用も可。絞り汁を服用してもよい。
解表して中焦を和す。解表作用とともに脾胃を温め整えて除湿し,よく止嘔する。
発汗解表 |
風寒表証で悪寒発熱・頭痛・鼻閉などに使用される。解表作用は弱く,主に他の辛温解表薬の補助薬として用いられる。〔代表方剤:桂枝湯〕。 |
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温中・止嘔 |
(1)胃を温め胃気を降ろし湿を除くことで,悪心・嘔吐を止める。そのため“嘔家の聖薬”といわれる。寒熱両証に使用可能。 |
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解毒 |
(1)半夏・天南星・附子・烏頭などの毒性や刺激性を緩和する。またこれらの薬物中毒に用いられる。また半夏・天南星などは,一般に生姜とともに炮製して毒性を中和後に使用されることが多い。 |
[注意点]温燥性があるため,陰虚内熱証・表虚自汗・胃陰虚の嘔吐には禁忌。
■ショウジオウ
生地黄
[基原]ゴマノハグサ科カイケイジオウの根。
[性・味]寒・甘・苦
[帰経]心・肝・腎
[用法]10~30g。炒炭地黄は止血に優れる。
清熱滋陰の重要薬。玄参に比べ,涼血 ・滋陰養血作用に優れ,止血作用を有する。陰血不足と虚火がある病態に広く使用される。
清熱涼血 |
温熱病営血証の高熱・意識障害・口渇・発疹・発班・絳色舌などに使用される。玄参・犀角・黄連・牡丹皮・赤芍薬などと用いる。〔代表方剤:清営湯〕。 |
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涼血止血 |
(1)清熱涼血することで止血する。血熱妄行のための吐血・尿血・鼻出血・血便・不正性器出血(崩漏)などに使用される。 |
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滋陰生津 |
陰分を滋養し,軽度ながら津液を潤す。 |
[注意点]脾虚証による湿証や下痢には禁忌。
■ショウバク
小麦
[基原]イネ科コムギの種子。
[性・味]微寒・甘
[帰経]心
[用法]30~60g。
益気・退熱・除煩作用を有する斂汗薬。浮小麦に比べ,養心除煩作用に優れる。
養心除煩 |
心神を養い安定させる。心神不安による煩躁・焦燥・不安・不眠・臓躁証などに使用される。甘草・大棗などと用いる。〔代表方剤:甘麦大棗湯 〕。 |
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斂汗 |
心陰を滋養し熱を除き,糯稲根などと同様に皮膚を引き締め汗を止める。心の気陰不足による自汗・盗汗や陰虚による骨蒸潮熱などに使用される。 |
■ショウマ
升麻
[基原]キンポウゲ科サラシナショウマやオオミツバショウなどの根茎。
[性・味]微寒・甘・辛
[帰経]脾・胃・肺
[用法]3~10g。炙升麻は昇提中気に優れる。
清熱解毒作用を有する昇陽薬。
発表透疹 |
風熱を発散し,さらに透疹する。だが,発表発散作用は弱く,主に麻疹の初期に使用される。生升麻を使用。葛根・芍薬・甘草などと用いる。〔代表方剤:升麻葛根湯〕。 |
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昇提中気 |
脾胃の陽気を引き上げる。 |
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清熱解毒 |
肺胃の熱を冷まし解毒する。 |
[注意点]昇散の性質があり,陰虚火旺や咳嗽・喘息などの気逆証には禁忌。また麻疹後期には使用しない。
■ジョテイシ
女貞子
[基原]モクセイ科トウネズミモチの成熟果実。
[性・味]涼・甘・苦
[帰経]肝・腎
[用法]10~15g。丸・膏剤,外用も可。
薬性が温和な補肝腎薬。熟地黄・山茱萸・枸杞子より補陰作用は劣る。旱蓮草とともによく配合される〔二至丸〕。墨旱蓮より補肝腎作用に優れるが,止血作用はない。
補肝腎陰 |
肝腎の陰を補う。膩性が少なく作用は比較的温和。特に陰虚内熱のものに適する。 |
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[注意点]寒性であり脾胃虚寒証の下痢,陽虚証には禁忌。