薬草辞典-さ行
■センナ
センナ
[基原]マメ科チンネベリーセンナやアレキサンドリアセンナの小葉。
[別名]番瀉葉
[性・味]寒・甘・苦
[帰経]大腸
[用法]緩下には1.5~3g,攻下には5~10gを使用する。粉末の冲服か後下して使用する。
大黄に類似した瀉下作用を有するが,瀉火・活血・止血作用はない。
瀉下攻積 |
大腸の滞積便を洗浄除去し,鬱熱を冷ます。熱証の便秘(熱結便秘)に適するが,食積の便秘や腹痛にも用いられる。単味の服用も可。枳実・厚朴・莱菔子・陳皮などと用いる。 |
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[注意点]妊婦・虚弱者・月経期・哺乳期には禁忌か慎重に使用する 。多量の服用で腹痛・悪心嘔吐などが出現することがある。
■センレンシ
川楝子
[基原]センダン科トウセンダンの成熟果実。
[別名]金鈴子・楝実
[性・味]寒・苦
[帰経]肝
[用法]5~10g。丸・散剤や外用も可。
熱性気滞の常用薬。
疏肝理気 ・止痛 |
肝気をよく巡らせ止痛するとともに,寒性であり鬱熱を除く。熱証を伴う肝気鬱結証によく適する。 |
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駆虫止痛 |
寄生虫による腹痛に使用される。特に蛔虫の腹痛に適する。檳榔子・使君子などと用いる。 |
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他 |
(1)外用で頭部の湿疹に使用される。 |
[注意点]悪心・嘔吐・下痢・呼吸困難などが出現することがある。苦寒性であり脾胃虚寒証には使用しない。
■ソウカクシ
皂角刺
[基原]マメ科トウサイカチの棘刺。
[別名]皂刺・皂針
[性・味]温・辛
[帰経]肺・大腸・肝・胃
[用法]6~9g。煎服。
辛散温通する薬力が鋭利であり,病変部に直達する。
消腫排膿 |
辛散温通し,廱疸腫毒(皮膚化膿症)の潰破する前に,穿山甲・当帰・黄耆などと用いる。 |
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捜風殺虫 |
疥癬・麻風(癩病)などにも使用する。 |
[注意点]廱疸腫毒の潰破後および妊婦には禁忌。
■ソウジシ
蒼耳子
[基原]キク科オナモミの成熟果実。
[性・味]温・苦・辛
[帰経]肺
[用法]3~10g。
通鼻し皮膚の湿を除く。鼻渊頭痛の重要薬。辛夷に比べ,祛風除湿作用が強く,鼻渊以外にも使用される。鼻渊の常用薬。解表薬としてはあまり使用されない。
通鼻・ 散風寒 |
鼻腔の通気を良好にする(通鼻)。鼻渊・鼻閉・粘性鼻汁・無臭,さらに風寒性の頭痛に多用される。寒熱両証に使用可能だが,特に風寒証の病態に適する。 |
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祛風湿止痛 |
祛風とともに湿を除き止痛する。 |
[注意点]多量の使用で嘔吐・腹痛・下痢などを引き起こすことがある 。多量には使用しない。副作用防止のため炒蒼耳子を使用するとよい。陰虚火旺には禁忌。
■ソウジュツ
蒼朮
[基原]キク科ホソバオケラやシナオケラの根茎。
[性・味]温・辛・苦
[帰経]脾・胃
[用法]5~10g。生蒼朮は燥性が強く,炒蒼朮は燥性が弱まる。
湿阻中焦治療の重要薬。脾胃や外表の湿を除く。寒・熱両証,体の内外上下の広範囲に使用される化湿の重要薬。厚朴に比べ,燥湿作用に優れる。
燥湿健脾 |
強い芳香性を有し燥性が強く,除湿作用に優れ,脾胃の湿を除いてその機能を回復させる(健脾)。だが補益作用はない。厚朴と同様に主に寒湿証に使用されるが,苦寒燥湿薬を加え湿熱証にも使用可能。湿困脾胃証の下痢・嘔吐・白膩苔に多用され,浮腫にも使用される。そのほか,胃もたれ・腹部脹満感・悪心・身体の重だるさなどにも使用される。湿困脾胃には厚朴・陳皮・白朮・枳穀などと用いる。〔代表方剤:平胃散 ,胃苓湯,越鞠丸〕。 |
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祛風湿 |
外表の風湿を除く。湿邪が強い痺証に多用される 。 |
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目明 |
視力を明瞭にする。夜盲症や内障・外障などの視力低下などに使用される。胡麻などと用いる。 |
[注意点]陰虚内熱,気虚の多汗には禁忌。
■ソウジンシ
桑椹子
[基原]クワ科マグワなどの成熟集合果。
[別名]桑椹
[性・味]寒・甘
[帰経]肝・腎
[用法]10~15g。膏・酒・丸・散剤に使用可。
薬性が温和で補血と潤腸作用を有する補陰薬。胡麻に比べ,補肝腎作用に優れ,生津止渇作用を有する。
補肝腎陰・ 養血 |
肝腎の陰を滋養し血も補う。膩性は少なく薬性は温和であるが,薬力はやや弱い。陰虚や血虚による頭重・めまい・視力低下・霧視・白髪などに使用される。そのほか,耳鳴・不眠・遺精などにも使用される。単味の服用も可。墨旱蓮・何首烏・女貞子などと用いる。〔代表方剤:首烏延寿丹〕 |
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生津止瀉 |
津液を潤し口渇を止める。温和で胃の障害は少ないが,薬力は弱く他の生津薬とともに用いられる。津液消耗や陰虚内熱の消渇病などに使用される。麦門冬・天花粉・石膏・知母などと用いる。 |
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補血潤腸 |
津液を潤し血を補い排便を促す。陰虚や血虚による腸燥の便秘に使用される。だが作用は弱く,他の通便薬の補助として使用される。麻子仁・何首烏・胡麻・枳実などと用いる。 |
[注意点]脾虚寒証の下痢には使用し ない。
■ソウハクヒ
桑白皮
[基原]クワ科マグワの根皮。
[性・味]寒・甘
[帰経]肺
[用法]5~15g。生桑白皮は瀉肺清熱と利水に優れ,蜜炙桑白皮は肺虚の咳嗽に適する。
寒性の止咳降気薬。肺中の火と水気を瀉す。枇杷葉に比べ清肺熱作用に優れ,利水作用を有する。
瀉肺清熱 ・平喘 |
よく肺火を瀉し(瀉肺清熱)肺気を降ろすことで,止咳し呼吸困難を静める(平喘)。肺の実熱証の咳嗽・喘息に多用されるが,肺虚証にも使用される。 |
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利尿消腫 |
肺気を流暢に降ろすことにより通調水道を高め,利水する。顔面などの浮腫・小便不利などに使用される。茯苓皮・生姜皮・大腹皮・陳皮などと用いる。 〔代表方剤:五皮飲〕。 |
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他 |
近年では降圧作用もあるとされ,肝陽上亢などの高血圧にも応用されている。夏枯草・決明子・黄芩・釣藤鈎などと用いる。 |
[注意点]外感風寒の咳嗽には禁忌。