薬草辞典-た行
■ダイオウ
大黄
[基原]タデ科ダイオウ類の根茎および根。
[別名]将軍・川軍・錦紋大黄
[性・味]寒・苦
[帰経]脾・胃・大腸・肝・心包
[用法]5~10g。粉末は0.5~2g/回。外用も可。重症で急ぎ下す場合には15~20gを使用する。長時間の煎じで瀉下作用は弱まる。瀉下作用を期待するときには,後下するか粉末を服用する。生大黄は瀉下作用,炭大黄は止血作用が強まる。制大黄は瀉下力が弱まり活血作用が強まる。酒大黄は火邪上炎に使用される。
滞積・実火・熱毒・瘀血を除去し止血する瀉下薬。芒硝とよく配合される。
瀉下攻積 |
大腸に滞積した便を洗滌除去し,鬱熱を冷ます。 |
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瀉火解毒 |
排便することで,裏熱を冷まし降ろしかつ解毒する。便秘を伴うものに適するが,便秘がなくても使用される。 |
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瀉火止血 |
血熱を冷まし止血する。活血作用もあり,止血するも血をとどめない。血熱妄行の吐血・鼻出血・瘀血性出血などに使用される。単味粉末の塗布も可。黄芩・黄連・生地黄などと用いる。〔代表方剤:瀉心湯〕。 |
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活血化瘀 |
優れた活血作用があり,瘀血をよく改善する。熱性瘀血に適する。瘀血性の閉経や月経痛・産後悪露排泄不全・癥瘕・外傷打撲などに使用される。 |
[注意点]妊婦・月経期・虚弱者には,禁忌か慎重に使用する。母乳に排泄され,小児の下痢を引き起こすことがあるので注意が必要。胃弱者には禁忌。
■タイソウ
大棗
[基原]クロウメモドキ科ナツメなどの果実。
[別名]紅棗 ・棗
[性・味]温・甘
[帰経]脾・胃
[用法]5~10g。あるいは 2~8個。
甘草とよく同時に使用される緩和補気薬。甘草に比べ補脾作用と養血作用に優れるが,緩急止痛じゃ弱く瀉火解毒・潤肺作用はない。
補気補脾 |
脾胃の機能を補う。薬力は弱く,他の健脾薬の補助として使用される。甘草に比べ脾を温め機能を高める。また養血作用に優れる。脾胃虚証の食欲不振・下痢・倦怠感などに使用される。人参・白朮・茯苓などと用いる。〔代表方剤:参棗丸〕。 |
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養血安神 |
補気とともに血を補い,心神を安定させ,肝経の急迫を治する。 |
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薬性緩和 |
(1)他薬による脾胃の損傷を防止し保護する。脾胃虚弱者に多用される。 |
[注意点]湿気を増長させるので,湿証・胸腹部・気滞証・嘔吐者には,慎重に使用するか禁忌。潤性と熱性があるので,痰熱や湿熱証には使用しない。
■ダイフクヒ
大腹皮
[基原]ヤシ科ビンロウの成熟果皮。
[別名]檳榔皮
[性・味]微温・辛
[帰経]脾・胃・大腸・小腸
[用法]5~10g。
檳榔子に比べ行気力・化痰力は弱く,駆虫作用はない。
行気利水 |
気を巡らせ湿滞を除き利尿する。凝固した痰ではなく,主に気滞湿阻証に使用される。 |
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[注意点]檳榔子と同様に,気を消耗しやすいので気虚証には禁忌。
■タクシャ
沢瀉
[基原]オモダカ科サジオモダカの塊茎。
[性・味]寒・甘・淡
[帰経]腎・膀胱
[用法]5~10g。痰飲のめまいにはやや多量(~15g)を使用する。
寒性で強力な利湿薬。下焦湿熱に多用される。茯苓・猪苓・沢瀉の三薬中,利尿力は最も強い 。
利水滲湿 |
強力な利尿作用により,体内の水湿や痰飲を利水により取り除く。だが健脾作用はない。寒性のため湿熱証に適する。めまい・帯下・熱淋に多用される。 |
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清腎火 |
腎陰虚による虚火を冷まし降ろす。腎陰虚の遺精や陰虚火旺などに使用される。山薬・山茱萸・黄柏・生地黄などと用いる。〔代表方剤:六味地黄丸 , 知柏地黄丸〕。 |
■タクラン
沢蘭
[基原]シソ科シロネの全草。
[性・味]微温・苦・辛
[帰経]肝・脾
[用法]10~15g。外用も可。
利水作用を有する活血薬。婦人科の常用薬。温性であり,益母草に比べ利水力は弱いが,薬性は緩和で正気を傷つけない。また補血作用はないが疏肝作用を有する。
活血通経 |
(1)血を巡らせ,経絡の流通を良好にする(通経)。薬効は強くなく薬性は温和 である。月経痛・閉経・産後の腹痛や悪露排泄不全・浮腫,外傷などに使用される。特に月経諸病や産後の諸症状に多用される。 |
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利水消腫 |
活血するとともに水分をも巡らせる。利水力は弱く他の利水薬の補助薬として使用される。気滞瘀血に伴う浮腫に適し,産後や月経時の浮腫・腹水・顔面浮腫などに使用される。 |
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他 |
皮膚化膿症に使用される。金銀花・当帰・甘草など。新鮮品の汁を塗布してもよい。 |
[注意点]非瘀血証や血虚証には慎重に使用する。
■タンジン
丹参
[基原]シソ科タンジンの根。
[別名]赤参・紫丹参
[性・味]微寒・苦
[帰経]心・心包・肝
[用法]6~15g。重度な癥瘕や瘀血性疼痛には多量(~30g)を使用する。粉末も可(2~3g/回)。
安神作用を有する血熱瘀血証の常用薬。各種瘀血の病態に多用される。
活血祛瘀 |
血熱を冷まし血をよく巡らせる。熱性の瘀血に適する。 |
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安神養血 |
心神を安定させ(安神)煩躁を緩和する。 |
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涼血消癰 |
血熱と瘀熱を冷まし癰腫を除く。ただし涼血作用は弱い。皮膚化膿症・乳癰・湿疹などに使用される。金銀花・連翹などと用いる。 |
[注意点]伝統的に藜芦とは相反。
■チクヨウ
竹葉
[基原]イネ科のハチクの葉。
[性・味]寒・淡・甘
[帰経]心・肺・胃
[用法]6~15g。
心・胃の熱を尿より排泄し煩躁を静める。淡竹葉に比べ除煩作用に優れ,気陰両虚証や熱病後期などに多用される。
清熱除煩 |
心火を冷まし心神を安定させ,胃熱を冷まし津液を潤す(生津)。小児の熱性痙攣にも,釣藤鈎・蟬退などと使用される。 |
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清心利尿 |
利尿作用により心火(熱)を尿より排泄する 。熱淋や血淋による排尿痛・ 頻尿・赤色や黄色尿などに使用される。口内炎や心煩不眠を伴うものに適する。淡竹葉よりは作用が弱い。車前子・木通・生地黄・滑石などと用いる。〔代表方剤:導赤散,小薊飲子〕 |