産後の疲れ
しっかりケアしたい産後の疲れ
産後はただでさえエネルギーが不足気味なのに、授乳や、育児で気力も体力も赤ちゃんに注がれ気づいたら枯渇状態に...。
例えば、こんなお悩みは多いものです。
出産後のママの体の変化
妊娠・出産は女性のカラダには大きな変化をもたらします。出産を終えたからと言ってすぐに妊娠前と同じ状態に戻るわけではありません。出産を終えて体が元の状態に戻るまでのおよそ6~8週間までは「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、無理は禁物の期間です。
産後1~2週間:とにかく安静にして体を休ませてあげる期間です。授乳する以外は安静にして体を休ませることに専念しましょう。
産後3~4週間:簡単な家事をはじめても大丈夫。料理や洗濯、部屋の片づけなど、無理のない範囲で少しずつ身体を慣れさせてあげる時期です。
産後5~8週間:徐々に元の生活に戻れる時期です。体力も少しずつ回復していきますが個人差があります。
産褥期は安静に過ごし、しっかりケアすることがその後の子育てにもママの健康にとっても大切です。過度のストレスも母乳不足の原因となりますのでストレスを溜めないようにしましょう。
エネルギーを補いましょう
妊娠・出産を終えた女性の体はエネルギーが不足状態にあります。そんな時、ママにとって何よりも必要なのは「食べること」「寝ること」、そして「ストレスをためない」ことです。
食べ物は、「バランスよく吸収しやすい食べ物」を選んで「良質のたんぱく質を摂る」こと。赤いもの・黒いものには鉄分が多く含まれるので、積極的に摂りましょう。
授乳時期は母乳を通して赤ちゃんに必要な栄養素が届けられます。質の良い食事と睡眠でママの心と体を健康に保つことが、赤ちゃんの成長と健康に繋がっているので、この時期はなるべく家族と相談したり、地域のサポートを利用して負担を減らすように心がけて下さい。
鉄分
血液のもととなる
・レバー
・ひじき
・小松菜
・かつお など
タンパク質
筋肉のもととなる
・大豆
・肉類
・魚類
・卵 など
ビタミンC
鉄分を吸収を助ける
・赤ピーマン
・黄ピーマン
・キウイフルーツ
・レモンなどの柑橘類 など
ビタミンB2
貧血対策に
・レバー
・ほたて
・チーズ
・魚介類 など
カルシウム
授乳により不足しがち
・牛乳
・干しエビ
・木綿豆腐
・みずな など
葉酸
子宮回復の手助け
・納豆
・春菊
・きのこ
・焼きのり など
体力をつけましょう
産後の女性の多くが感じる疲れやすさや寝てもだるさが抜けない原因の多くは「筋力」のないことが考えられます。
お腹に赤ちゃんがいた間は、腹筋やお腹周りに力が入れられなかったりとただでさえ運動不足で筋力が低下しています。出産後のだるさはもちろん、痛みや疲れやすさ、尿漏れ、出血、腰痛、むくみ、体重増加など、このような症状は筋力の低下によって引き起こされることが多く、出産後に適切な筋力トレーニングを行うことで体の回復を早め、トラブルの予防・改善に繋がります。
中でも産後はカラダの深層にあるインナーマッスルの働きが弱まっている状態にあります。この筋肉が弱くなると、尿漏れや便秘を引き起こす原因にも。また、姿勢にも深く関わっているのので、姿勢を保つことが困難になると抱っこや授乳によって肩や腰に疲労や痛みを感じやすくなります。
このような不調を防ぐためにも、出産後はインナーマッスルを意識したストレッチを取り入れて筋力をつけましょう。
「中医学での産後の疲れの考え方」
妊娠・出産を終えた女性の体は、「気」「血」「津液(水)」を大量に失った状態です。それは生命活動を支えるエネルギーが不足状態にあるということ。陣痛の長さやお産にかかる時間がながければ長いほど、体力を使いエネルギーは失われます。
「気」は「気虚」といって体力を消耗した状態で、「血」は「血虚」といって血の少ない状態、「津液」は「陰虚」といって、出産で大量の汗をかくため身体の(津液が少ない)=(水が少ない)状態になります。
中医学では産後の体を立て直すために、体質と症状に合わせて漢方や鍼灸や薬膳などを用いて「気」「血」「津液」を補い整えていきます。
産後の疲れに「漢方」
出産後の女性によく使われる漢方として「補中益気湯」が挙げられます。これは、胃腸の働きをよくして体力を回復をさせ、気を補い増やす場合に用います。疲れや冷えがあり「気」や「血」が足りていない場合には、「十全大補湯」で体力と気力を補い、元気をとりもどします。胃腸が弱く食欲不振、顔色の悪さ、貧血によるめまいや立ちくらみ、風邪をひきやすいなどの虚弱体質には「人参養栄湯」で栄養をすみずみにいきわたらせ、「気」と「血(けつ)」の両方を補います。やる気がでない・精神的な疲れや睡眠が浅い場合には、「気」「血(けつ)」を補う働きのある「帰脾湯」など。
漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと、十分にその効果を発揮することができませんので、ご自分の体質や体の状態を知るためにも、漢方に詳しい専門家に選んでもらうことが大切です。
産後の疲れに「薬膳」
滋養のある鶏肉は昔から、病後食に適した食材として重宝されてきました。産後の体力を戻したいときにも適しています。
日本でも馴染みのある韓国料理のサムゲタンなどは疲労回復や栄養吸収に優れていると有名ですね。鶏肉は栄養を補ったり、体を温めたりする作用が期待でき、特にスープに食にすることでより体内への吸収率が上がります。また、生薬と合わせることにより相乗効果が期待できます。
産後のセルフケア「お灸」
「温灸」は優しく温めて巡らせる働きをしてくれるので、「気・血・津液」が不足してる産後の女性におすすめです。
セルフケアで使うお灸には、いろいろなタイプがあり、火をつけて煙がでるタイプ・火の出ないタイプ・カイロのように貼るタイプなど選ぶことができます。
産後で家には小さい赤ちゃんもいますのでなるべく火や煙がでない安全なものがいいかもしれませんね。
これらのお灸の原料は、春のなるとあちこちでみかける「よもぎ」です。よもぎは古くから身近な薬草として活用されてきました。傷口によもぎの葉をもんで汁をつけて止血したり、虫さされやかゆみ止めにも使われます。
又、乾燥したよもぎは艾葉(がいよう)と呼ばれ今でも生薬として使われます。体を温め、腹痛、月経のお悩み、出血症状、湿疹など、さまざまな症状に効果があるとされています。
お灸に使われる「もぐさ」はよもぎの葉っぱの裏側に生えたうぶ毛を乾燥させたもので、「チネオール」という精油成分が含まれ、精神をリラックスさせる効果があるといわれます。
自分で使いやすいタイプを選んで、気軽にセルフケアできる点もメリットです。おうち時間の多い産後には、身体の不調を緩和できるお灸を取り入れてみるのも良いでしょう。
公開日:2022-10-25
更新日:2023-07-21