産後の肩こり

 

「肩こり」は産後のお悩みナンバーワン

産後の肩こりは多くの女性が経験します。
一般的な肩こりの原因は長時間同じ姿勢をとり続けたり、姿勢の悪さ、冷房や寒さによる緊張、運動不足、ストレスなどが代表的です。こうした状態によって肩の筋肉に負担がかかったり、筋肉が硬くなり血管が圧迫されて血行が悪くなると老廃物や疲労物質がたまりやすくなります。これが刺激となり痛みを繰り返す悪循環を起こし一般的にいう「肩こり」となります。
肩こりは主に僧帽筋という筋肉に起こる症状で、肩だけでなく首もこることが多く、ひどいと頭痛や吐き気などをともなうため、早いうちに手あてしてあげることが肝心です。
実はこの「肩こり」こそ女性の産後のお悩みナンバーワンなのです。


出産後の肩こりは何故起きやすいの?

肩こり

1)授乳時の姿勢

産後の肩こり、特に体への負担となっているのが「授乳時の姿勢」です。
授乳時には、首を曲げ胸を閉じて前かがみになるといった、猫背で一定時間同じ姿勢になることが多くなります。
赤ちゃんが飲みやすく、授乳しやすいようにと、背中を丸めて前かがみの姿勢でいると、どうしても肩や背中に負担がかかってしまいます。また、授乳時には肩や胸元があらわになり、冷えを招き血行が悪くなりやすいため、それも肩こりの一因となります。
授乳時には赤ちゃんとの距離を調節したり、前かがみで猫背な姿勢になっていないか、肩回りは冷えていないか、など気を付けるようにしましょう。


2)同一姿勢を続ける

肩こりは人によって、左の方の肩がこる、右の方の肩がこるといった個人差が出やすいものです。これは、利き手や軸足によるもので、使いやすい方や楽な方を使い過ぎるために起こります。左右決まった側を酷使する同一姿勢をとり続けることにより、肩の筋肉が緊張し、こりを招く原因に。また、痛みを感じている場合には、肩周りを動かす機会も減ってしまいますので悪循環となります。
左右を均等に使っているか(どちらかに偏っていないか)、猫背や前かがみの姿勢が続いていないかなど、こまめにチェックして姿勢の見直しを心がけましょう。


3)筋力の低下

産後の女性は思った以上に筋力が低下しています。筋力が低下していると言うことは、代謝が低下していると言うことで、代謝が低下していると血の巡りが悪くなります。すると、乳酸などの疲労物質が蓄積し、神経を刺激して、肩こり特有の症状を引き起こすのです。特に産後は運動不足になりがちなので筋力も更に弱くなっています。
運動をしないでいると筋力は加齢と共に減少していき、同時に柔軟性も失われていきます。


4)女性ホルモンの減少や自律神経の乱れ

妊娠から出産、そして産後。女性の身体はホルモンの作用によりさまざまな変化が起こります。出産中は骨盤を広げるため、『リラキシン』というホルモンが多く分泌され子宮周囲の靭帯が緩みますが、急激なホルモンバランスの変化や乱れにより、肩こりや腰痛、体型の崩れをはじめとるす様々な出産後の不調などにも繋がります。
産後は慣れない子育てと家事の両立でストレスがたまりやすい状態です。ストレスから自律神経が乱れが生じ交感神経が強く働くようになると、筋肉が緊張して血液の流れも悪くなってくるので体のだるさや痛みにつながります。
また、体の土台である骨盤の緩みバランスが崩れることにより、周辺の内臓に関係している神経や筋肉に問題が起きてそこからこりや痛みが出ることもあります。


産後の肩こり予防のために

肩に負担がかかるのは、なんといっても長時間に及ぶ授乳です。授乳は定期的で、時間も長いので、肩こりを起こしやすい原因になります。赤ちゃんの位置を授乳クッションや枕などを使って胸に近づけるように高さ調節をすると、ママの負担も軽くなり、赤ちゃんもお乳を飲みやすくなります。赤ちゃんを肘や腕の下の入れるだけでも肩はとても楽になります。 椅子に座ったり壁にもたれて授乳する場合は、腰の後ろに枕などを入れ猫背にならないように工夫することも大切です。
また、重いものを持つことは、筋力の落ちた体に負担になりますので、控えるようにしましょう。
産後の6~8週間の「産褥期」は、体が徐々に回復へと向かう時期ですので、この時期は無理のない範囲で、1日5分歩くなどの軽いウォーキングや、肩を回したり、簡単なストレッチなどの運動を心がけましょう。


「中医学での産後の肩こりの考え方」

滞りの痛みと不足の痛み
中医学には「不通則痛」「不通則痛」という言葉があり、「通じざれば則ち痛む」「通じれば則ち痛まず」と考えます。不通とは滞った状態ということで、いわゆる“瘀血(おけつ)”による肩こりです。
その一方、「栄則不痛」「痛則不栄」という言葉もあり、これは「栄えざれば則ち痛む」「栄えれば則ち痛まず」と考えるもので、産後の女性は「気」「血」「津液」といった身体の基本的なエネルギーが不足していますので、栄養が足りず、巡りの悪い状態になっています。これにより肩周辺の経絡(気血の通り道)が巡らず、肩こりの症状が出やすくなります。
治療としては原因や体質を診て、“瘀血による滞りを解消すること(通じれば則ち痛まず)”ことや、“栄養不足による滞りをなくすこと(栄えれば則ち痛まず)”を目標とします。
また、症状の度合いによっては、体質を見極め、根本的な体質から改善していくことも必要となります。

産後の「肩こり」養生のポイント

産後すぐには気力も出ないし、体も以前のようには動きません。家族に応援してもらい、なるべくストレスをためないように、まずはリラックスして過ごすようにしましょう。リラックスすると自然に気が巡るものです。気の巡りが良いのは体の中の巡りにもつながります。
また、産後すぐから約1ヶ月前後まで続く「悪露」は出しきらないと瘀血となり、それがこりや痛みの原因ともなりかねません。冷えは禁物、産後は体を温めてゆっくり休養を摂りましょう。温めて巡りを良くすることも肩こりはもちろん産後の女性にとって本当に大切なことです。冷水や風などから生じる冷えは痛みのもととされるので、産前産後は気を付けましょう。
それでも肩のこりがとれない時は、漢方や鍼灸の力を頼るのもおすすめです。漢方や鍼灸は女性の体に優しく、とりわけ産後の女性の心と体にうれしいメリットがあります。「肩こり」の解消が目的だとしても、漢方や鍼灸で整えている内に自然と体全体の巡りがよくなり、気力も体力も戻り、産後がとても楽に過ごせます。
また、赤ちゃんを産んでから将来に向かっての美と健康の分かれ道もこの時期にあるので、産後は出来るだけ充分なケアを心がけましょう。


産後の肩こり対策に

1
肩や首を温めて筋肉をほぐしましょう
2
軽いストレッチをして肩甲骨を動かしましょう
3
体の巡りをよくしましょう
4
妊娠、出産、授乳によって失われた「血」「気」「津液」を補いましょう


公開日:2022-10-25
更新日:2023-07-24

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