産後の抜け毛・白髪

 

「抜け毛や白髪」産後の髪のトラブル

「産後に抜け毛が増えた」「出産後、白髪が目立つようになった」
以前は感じたことがなかったのに、産後に髪に関するお悩みを抱えるママさんは多いものです。
出産の2~3ヶ月後に起こることが多い産後抜け毛や白髪などの髪の悩みは、女性にとっては切実なもの。白髪を見つけては軽くショックを受けたり、抜け毛を見ると不安になってしまうこともあります。
赤ちゃんを産んでからの抜け毛や白髪って、いつもとに戻るの?どうすれば治るのでしょうか。
豊かで綺麗な髪を保つためにも、産後の抜け毛や白髪の原因とその対処法について知っておきましょう。


産後の髪トラブル、その多くの原因は?

産後の髪トラブル

「抜け毛」や「白髪」は見つけるたびに気持ちもナーバスになっていきますよね。そもそも、産後の抜け毛や白髪などの髪トラブルはなぜ起こるのでしょうか。


1)ホルモンバランスの乱れ

妊娠・出産を通して、女性ホルモンは大きく変化します。その変化が髪に及ぼす影響は思ったより大きなものです。特に、出産後はエストロゲンの量が急激に減少するので、ホルモンバランスが崩れます。ホルモンバランスが乱れることでメラニン色素の生成・供給量が減少するため、抜け毛や白髪が引き起こされます。


2)出産による身体へのダメージ

出産は女性の身体に大きなダメージをもたらします。出産で体力をこれまでになく消耗しているところに、体の中では急激な変化が起こります。自律神経の乱れから更年期障害のような症状もおこりやすくなりますし、産後の抜け毛や白髪も起こりやすいと言えます。


3)生活環境の変化によるストレスや睡眠不足

産後は、慣れない育児のためストレスを感じることも少なくありません。その中でも特に産後ママを悩ませるのは、赤ちゃんの夜泣きです。赤ちゃんが泣きだすと、夜中でも放っておくわけにはいきません。そのため睡眠不足になることも。また、睡眠不足が続くと、ストレスが蓄積します。ストレスによりメラノサイトが傷つき白髪の増加につながります。


4)授乳による栄養不足

産後は気力も体力も使い果たした状態です。けれど体力回復も充分ではないまま、授乳により多くの栄養が赤ちゃんへと注がれます。赤ちゃんの成長にとって大切な授乳ですが、それは同時に母親自身の栄養も分け与えているということです。身体の栄養不足が原因となり、白髪の急増を招いてしまうのです。


産後の美しい髪を守るために

待ちに待った赤ちゃんの誕生は嬉しいものですが、妊娠そして出産と、ママの身体の中では大きな変化が起こっていて、体力的なダメージも想像以上にあるものです。その上、定期的な授乳やオムツ替えなど、育児をしているとゆっくりと休む時間もありません。
ママの元気は家族の元気の源です。パートナーや家族の協力のもと、体調回復に専念しましょう。


「中医学での産後の抜け毛・白髪の考え方」

滋陰、補血

豊かな髪のためのキーワード「けつ」と「じん

出産と育児には、沢山のエネルギーが必要になります。
このエネルギーを中医学では「」「けつ」「津液しんえき」「腎精じんせい」と言いますが、出産直後はこれらのエネルギーが大変消耗されます。中でも髪と関りの深い「血」と「腎精」を消耗することによって、髪がやせ細ったり、抜け毛や白髪といった髪トラブルが引き起こされるのです。

血余けつよ」 血に余裕があると髪は豊かになる
中医学には「血余」という言葉があり、これは「血が十分にあり余りがある状態」を示しています。「髪は血の余り」ともいわれ、血の量が充実して身体全体にしっかりと栄養を運べていると髪も艶があり豊かになります。さらに「血余」は髪だけでなく、目、爪、精神、生理などの身体全体とも深い関わりをもっており、健康状態の指標とされています。
つまり、髪は体の末端にあたるので、血がしっかりと栄養分を全身に運んでいれば髪にも栄養が行き渡り、髪質が良くなり髪量が豊かなるということです。

「髪は腎の華」 髪は生命エネルギーの咲かせる花
「腎」とは、生まれながらに持っているエネルギーが蓄えられているとされている場所で、そのエネルギーを「腎精」と言い、髪と深い関りがあります。加齢によって腎精は衰えるため、髪の元気さも失われます。ストレスや睡眠不足など生活習慣の乱れは、腎の力が損なわれるため、抜け毛や白髪の原因ともなります。

美しく豊かな髪のために
こうした出産後の髪のお悩みには「補血ほけつ」と「補腎ほじん」を行うことが大切です。出産によって失われたそれらのエネルギーを補うことができないと、髪トラブルだけにとどまらず、女性ホルモンの働きの低下を招き、肌荒れ、しみ、くすみ、しわ、などの皮膚トラブルはもとより、不眠やうつ病、更年期などの様々などの症状が表れ、総じて老化の早まりにつながります。

産後の「抜け毛や白髪」養生のポイント

前述のように、産後の髪のダメージ回復には「血」と「腎」が鍵となります。
「血」の量が少なくなり不足している状態を中医学では「血虚」と言い、栄養が末端まで行き渡らないため、髪がパサパサになったり、枝毛や抜け毛、白髪を引き起こすので、「補血」を行い血を元気にします。
また、「腎」には「腎陽じんよう」と「腎陰じんいん」があり、髪に潤いを与えツヤのある髪を保つためには「腎陰」の働きがたいせつです。そのため、「滋陰じいん」を行うことも髪のダメージ回復に欠かせません。
普段の生活の中でできる養生をためしてみても解決できないようなら、一度きちんと専門家に相談してみるてはいかがでしょうか。


日常生活で心がけたい「髪のための養生法」

1
「よく眠る」 産後は体力を回復させ、血を作るためにも良く眠り質の良い睡眠を心がけましょう
2
「しっかり食べる」 鉄分多いものや、赤・黒など色の濃いものを摂りましょう
3
「身体を冷やさない」 冷えは腎の負担になるため、身体を温めストレスをなくし、血行をよくしましょう
4
「呼吸を意識する」 腹式呼吸や深呼吸で腎の納気機能(エネルギーを取り込む機能)を高めましょう




公開日:2023-2-16
更新日:2023-07-24

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