慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病とは、慢性的に進行する腎臓の病状を指す用語です。
この病気は、20歳以上の日本人の約8人に1人が患っていると推定されており、合計で約1,330万人の成人が影響を受けています。
*)これらの数値は、CKDを新たな国民病と位置づけています。
慢性腎臓病は、メタボリックシンドロームや動脈硬化と深く関連しており、広範な健康問題として誰にでも影響を及ぼす可能性があります。
CKDの初期段階では自覚症状がほとんど現れないため、早期発見が非常に困難です。この事実が、患者数の増加の主な原因となっています。
慢性腎臓病は、蛋白尿や糸球体ろ過量(GFR)の測定を通じて診断され、腎障害が3ヶ月以上持続する場合に慢性腎臓病と診断されています。
CKDは早期に治療を開始することで回復の可能性がありますが、一定のレベルまで進行すると自然回復は期待できません。
治療を怠ると、病状は進行し、最終的には透析療法や腎臓移植が必要になる可能性があります。
*一般社団法人日本腎臓学会による「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」に基づいています。
◆慢性腎臓病(CKD)の症状
初期症状の発見が困難
慢性腎臓病(CKD)の初期段階では自覚症状がほとんどありません。
これがCKDの早期発見を困難にしている主な理由です。
しかし、病気が進行するにつれて、いくつかの症状が現れ始めます。
1. 浮腫
腎臓の機能低下により、体内の水分排泄がうまく行かず、余分な水分が体内に蓄積されることで浮腫が発生します。
特に腎臓の病気によるむくみは、重力の影響で足首などの下半身から始まり、徐々に上半身にも広がります。
さらに、肺や心臓に水が溜まると、透析治療が必要になることもあります。
2. 尿量の変化
腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排出します。
尿量の減少(乏尿や無尿)や増加(多尿)は、腎機能の変化を示しています。
特に、夜間頻尿は腎臓の濃縮能力の低下を示す兆候です。
3. 夜間尿
夜間に何度も尿意で目覚める現象は、腎機能の低下による夜間多尿のサインです。
これは、腎臓が日中にナトリウムを効率的に排泄できず、夜間も排泄しようと活動することが原因です。
4. 頻尿
頻尿は、1日に8回以上や夜間2回以上トイレに起きる状態を指します。
これは、膀胱の病気だけでなく、腎機能の変化によっても引き起こされることがあります。
5. だるさ
腎不全により、尿毒症物質の蓄積や貧血、電解質異常などにより、全身のだるさが生じることがあります。
これは、腎機能が高度に低下しているサインであり、透析などの腎代替療法が必要な状況を示しています。
6. 貧血
腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球の生成を促進します。
腎機能の低下によりエリスロポエチンの分泌が減少し、赤血球の数が減ることで貧血が起こります。
7. かゆみ
腎臓の働きが低下すると、体内の老廃物が皮膚に蓄積し、かゆみを引き起こすことがあります。
特に透析患者に多く見られる症状です。
8. 心血管合併症(CVD)
CKDは心血管疾患と強い関連があり、腎機能の低下や尿蛋白の存在は心血管疾患のリスクを高めます。
9. 骨ミネラル代謝異常
CKDは、カルシウムやリンの代謝異常を引き起こし、骨がもろくなるなどの影響を及ぼします。
これは、骨折や心血管イベントのリスクを高める要因となります。