慢性腎臓病(CKD)とは
◆慢性腎臓病(CKD)の原因
概要
慢性腎臓病(CKD)は、多くの異なる原因により発症することがあります。その中でも、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病や、慢性腎炎が主要な原因として挙げられます。
糖尿病性腎症
糖尿病が長期にわたって進行すると、糖尿病性腎症を発症するリスクが高まります。
これは、透析導入の最も一般的な原因であり、透析患者の約40.2%がこの病状によって透析治療を必要としています。
糖尿病性腎症は、血糖コントロールが不十分な場合に特に発症しやすくなります。
高血圧と腎硬化症
高血圧は腎臓の血管に負担をかけ、長期間にわたる高血圧は腎硬化症の原因となり得ます。
これは、腎臓の組織が硬くなり、機能が低下する状態を指します。
透析導入患者の中で第2位の原因となっており、特に高齢者の間で増加傾向にあります。
慢性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎は、腎臓の糸球体に長期間にわたる炎症が生じる状態です。
学校検尿の普及や治療の進歩により、透析導入に至る患者数は減少していますが、依然として重要な原因の一つです。
メタボリックシンドローム
肥満、運動不足、喫煙、ストレスによる高血圧症、高脂血症など、メタボリックシンドロームはCKDの発症に大きく関与しています。
これらの要因は、動脈硬化を進行させ、腎機能の低下を招きます。
加齢の影響
加齢による腎機能の自然な低下もCKDの一因となり得ます。
特に、高齢者においては、糖尿病や高血圧など他のリスク要因と組み合わさることで、腎機能の低下が加速されることがあります。
透析患者の統計調査によれば、原因不明のケースも一定数存在しますが、多くのCKD患者は生活習慣病や慢性腎炎などの複数の要因により、徐々に腎機能が低下していきます。
高血圧、動脈硬化、加齢といった要因が軽度の腎機能低下を引き起こし、それに糖尿病や脂質異常症などの要因が重なることで、CKDへと進行します。
◆慢性腎臓病(CKD)の診断基準と重症度分類
CKDの診断
慢性腎臓病(CKD)の診断は、原因疾患に関わらず、以下の2つの主要な基準に基づいて行われます。
腎障害の証拠
尿検査、血液検査、画像診断などを通じて、腎障害の存在が明らかになること。
特に、たんぱく尿が0.15g/gcr以上出ている場合が重要な指標です。
糸球体ろ過量(GFR)の低下
GFRが60mL/分/1.73m²未満の場合。
GFRは腎臓のろ過機能を示す重要な指標であり、これが低下すると腎機能の衰えが示されます。
これらの基準が3ヶ月以上続いた場合に、CKDの診断が下されます。
CKDの重症度分類
CKDは、その進行度によって以下の5つのステージに分類されます。各ステージはeGFRの値に基づいて定められ、それぞれの段階での治療方針が異なります。
ステージⅠ (eGFR ≥90)
数値としては大丈夫ですが、尿検査や血液検査で基準値を外れた結果が3か月以上持続する場合には、原因疾患の特定と管理が重要です。
ステージⅡ (eGFR 60~90)
軽い腎機能低下。
生活習慣の改善と基礎疾患の治療が推奨されます。
ステージⅢ (eGFR 30~59)
腎臓の機能が半分近く低下。
むくみや夜間多尿、疲労感などの症状が現れ始めます。
この段階で腎臓専門医の診察が必要です。
ステージⅣ (eGFR 15~29)
腎臓の機能が約30%未満に低下。
むくみ、高血圧、貧血などの症状が顕著になり、透析導入を遅らせるための積極的な治療が必要です。
ステージⅤ (eGFR 15未満)
腎臓がほとんど機能していない末期腎不全の状態。透析療法や腎移植が必要になります。