慢性腎臓病(CKD)とは
◆慢性腎臓病(CKD)の現代医学による治療法
概要
慢性腎臓病(CKD)の治療は、腎機能の進行を遅らせ、腎臓の機能低下による症状の改善を目指します。
治療には、ライフスタイルの改善、薬物療法、症状管理が含まれます。
1. 血圧管理
CKD患者における血圧管理は非常に重要です。
血圧が高いと腎機能の悪化を速めるため、血圧を140/90mmHg未満に保つことが目標です。
これには降圧薬の使用が含まれ、特に腎臓を保護する効果のある薬が選択されます。
2. 血糖管理
糖尿病がCKDの原因の一つである場合、血糖の厳格な管理が求められます。
目標は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)を7%未満に保つことです。
3. 食事療法
食塩摂取量の管理にもCKDの治療において重要です。
1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることで、高血圧の管理に役立ちます。
4. 肥満療法
肥満はCKDのリスクを高めるため、適切な体重管理が重要です。
バランスの良い食事と適度な運動により、健康的な体重を維持することが目標です。
5. 禁煙療法
喫煙は腎機能の低下を促進するため、禁煙がCKD患者に推奨されます。
6. 薬物療法
慢性腎臓病の治療には、複数の薬物が用いられます。
降圧薬 降圧薬 |
腎臓の血圧を調整し、腎機能の保護を目的とします。 |
利尿薬 利尿薬 |
余分な水分や塩分の排出を促し、血圧の管理とむくみの軽減を図ります。 |
経口吸着炭素製剤 経口吸着 |
尿毒症の原因となる毒素を吸着し、便とともに排出させます。 |
腎性貧血治療薬 腎性貧血 |
赤血球の産生を促し、貧血の治療に使用されます。 |
カリウム吸着薬 カリウム |
体内のカリウムを調節し、過剰なカリウムのリスクを減少させます。 |
リン吸着薬 リン吸着薬 |
体内のリンのレベルを管理し、高リン血症を防ぎます。 |
活性型ビタミンD製剤 活性型 |
骨の健康を維持し、骨がもろくなるのを防ぎます。 |
◆慢性腎臓病(CKD)の中医学による治療
中医学の考え方
中医学では、CKDを腎、脾、肺の機能不全と関連付けて考えます。
中医学の基本原理では、病気は「本虚標実」(本来の弱さと現れる強さ)の理論に基づいて診断されます。
これには、
- ・「正虚」(気、血、陰、陽の虚弱)
- ・「邪実」(血瘀、濁毒、湿熱、水湿などの不正な要素)
CKDの核心病機は、
- ・腎虚(腎の弱さ)
- ・血瘀(血の滞り)
- ・湿熱(湿気と熱の異常蓄積)
- ・濁毒(不純物の蓄積)
治療法
中医学におけるCKDの治療法は、
- ・「補腎健脾」(腎と脾の強化)
- ・「活血化淤」(血液の流れを改善し、滞りを解消)
- ・「袪湿清熱」(湿気を除去し熱を清める)
- ・「解毒」(体内の毒素を取り除く)
浮腫の治療
CKD患者における浮腫は、腎、脾、肺の機能不全に起因するとされます。
浮腫みは、津液(体液)が脾の機能によって肺に送られ、その後、肺の機能によって汗として排出され、また腎に送られて尿として排出されるプロセスに影響を受けます。
中医学では、以下のようなタイプに分けて治療を行います。
脾陽虚 |
全身的な浮腫み、圧痕、食欲不振、軟便が特徴です。 |
腎陽虚 |
下半身の浮腫み、腰痛、冷え性、畏寒が現れます。 |
風邪犯肺 |
顔面の浮腫み、口の乾き、喉の痛みなどが見られます。 |